機能性成分放出制御技術の基本原理

似たようなサプリメントが市場に溢れ、機能性成分の含有量で勝負という時代から商品のコンセプトや製剤技術で勝負するサプリメントが増えてきました。
製剤技術では、錠剤・カプセル剤のような剤型で放出抑制技術を取り込んだ商品が数多く発売されています。

機能性成分の放出抑制技術の原理について見てみましょう。
医薬系ではたくさんの技術がありますが、サプリメントで使えそうな安価に利用できる技術に絞りました。

放出速度の制御

①コーティング型(膜透過制御)

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コーティング型は、水不溶性の放出制御膜を訴状の表面にコーティングを施したものです。
メリットとしては、消化管内の中でも安定的に成分を放出が期待できるという利点があります。
耐酸性皮膜を使用すれば、腸溶性を付加できますし、粘性の高い物質を噴霧せればゆっくり溶け出す製品を開発することができます。

サプリメントでは、森下仁丹の技術であるシームレスカプセルが有名です。
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(画像引用元:森下仁丹:シームレスカプセル応用例
皮膜を調整することで、口腔内崩壊〜腸溶性を付加することができます。

②口腔内崩壊錠(OD錠)

口腔内崩壊錠は、水なしで服用できる錠剤で、口に含むと溶けます。
口腔内で30秒以内に溶け崩れるのが特徴です。
技術的に難しい点も多く、サプリメントだとほとんど見かけません。

エリスリトール顆粒と結晶セルロース、崩壊剤などのすぐに溶ける物質を組み合わせて作ることができます。
例えば、ダイセルから速崩壊性賦形剤「SWELWiCK(スウェルウィック)」という原料が最近発売されました。
これから多くの商品が上梓されるかもしれません。

③分散性・添加剤による崩壊性向上

崩壊時間を短縮することで、体内の吸収率upを訴求することができるので多くのサプリメントに利用されています。
錠剤であれば、崩壊剤を添加する。カプセルであれば分散性を向上するなどが挙げられます。

例えば、DHCから発売されている速攻ブルーベリーという商品は分散性向上による崩壊時間の短縮を行った商品です。
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消化管のターゲティング

①胃ターゲティング

HPCやHPMCなどが水には溶けにくいが、胃酸性化で溶けやすいという特徴から胃溶性コーティング剤として使用されることがあるがほとんどサプリメントでは見かけません。

②腸ターゲティング

サプリメントでは、腸ターゲティングとした商品が数多く重視されている。
原理としては、胃のpHでは溶解せずに腸のpH5~8で溶解するコーティング剤を使用する。
また、大腸内にある腸内最近の代謝を利用したガラクトマンナン・キトサン・アミラースなどの酵素分解を受ける天然高分子を使用した腸溶性カプセルなども発売されています。

一例を挙げると、中日本カプセルのIS-Capsule(アイエスカプセル)は非常に面白い技術です。
膜にペクチンを配合することで、胃液(pH1.2)ではペクチンがゲル化し溶出を遅くし、腸液(pH約7)ではペクチンが溶解するpH応答性を持たせています。
(参考:IS-Capsule(アイエスカプセル))

直接打錠を目的とした成形性の高い錠剤を作成するコツ

直接打錠を目的とした成形性の高い錠剤を作成するコツ

サプリメント錠剤を製造する場合、一番安価な直接打錠法が前提となります。
直接打錠とは、粉体をVコンなどで混ぜた後 打錠機で成形します。

湿式打錠では粉体を造粒するので粒は均一ですが、混合を行っただけの粉体は粒は不均一です。
成形性の高い錠剤_粉のイメージ
(図:成形する粉体のイメージ)
湿式打錠で選択される造粒された錠剤は、結合剤を表面にコーティングするため結合性も高い。
それに加え、粉体の大きさも均一に近く 打錠障害も起こりにくい。

一方、混合だけの錠剤は粒の大きさもバラバラであり 結合剤なども 混合時間の調整を間違えると 不均一になります。
直接打錠を行うには、結合性・流動性が備わっていないと 打錠機で成形出来ません。
そのため、結合性を補うために セルロースを入れたり 流動性を補うために 二酸化珪素を配合します。
今回は、結合性に焦点を当て 成形性の高い錠剤を作るポイントを整理します。

成形性の高い錠剤の特徴

成形性が高いとは、出来るだけ少ない圧力で錠剤を作成できるものと定義します。
高い圧力をかけると、杵の寿命や機械の寿命を減らすだけですので 成形性が高いことは重要なことです。

①有効成分を減らす

錠剤に配合される、有効成分が多すぎる場合 成形性が低いことが多いです。

ウコン
(画像引用:ウコンの”力”はがんにも効果―米研究
有効成分の例として、ウコンをみてみましょう。
ウコン類における錠剤成形の技術開発という沖縄県工業技術センター研究報告書によると、ウコン素材そのものの顆粒成形に関する結合性能が弱いことから HPC・コラーゲンなどで造粒した後に打錠することでサプリメントなどの利用を想定しています。

サプリメントで使用される有効成分の多くは、結合力に乏しいので 減らすことで成形性が高くなります。

②結合剤の量を増やす

結合剤は、粉同士の決着力を上昇させたり硬度を高めてくれる素材です。
原料としては、セルロースを使用するのが一般的です。

セルロースの特徴は2種類に分けられます。
①繊維状で、硬度が高いもの(stシリーズなど)
②丸みを帯びており、流動性に優れるもの(ufシリーズなど)
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(引用:旭化成ケミカルズ:セオラス

なぜ、繊維状のものが成形性に優れるかというと、空隙率が高くなるや粉体同士の結合作用からだと考えられます。
セルロース変化
表面がなめらかなものよりも、セルロースが入っている方が粉体同士が絡みやすい上、空隙率が上がることで変形しやすい粉体に変化します。

参考
医薬品製剤化方略と新技術 (ファインケミカルシリーズ)

糖衣コーティングとフィルムコーティングの特徴

糖衣コーティングとフィルムコーティング

錠剤のコーティングには、2種類あります。
それは、糖衣コーティングとフィルムコーティングです。
それぞれの特徴を見ていきましょう。
具体的な商品や、液剤の調合などについてはフロイント株式会社:医薬品添加剤に詳しい。

初心者向けに、コーティングの特徴と どんなものを使うかに焦点を絞ります。

コーティングを行うメリット

コーティングを行うメリットは、苦味のマスキング作用があります。
サプリメントだと、カフェインなどの苦味料を配合したり、植物系のエキスが多い錠剤の場合 素錠だと渋みを感じます。
一方、コーティングした錠剤だと 舌に増えるのはコーティング層です。
コーティング剤は、渋みがないので 飲みやすくなります。

また、色味の悪い、変化しやすい原料を配合している場合は 糖衣コートを選択します。
白色で覆うため、見た目も綺麗になります。
また、表面がツルツルするので、喉に引っかからないので飲みやすさも増します。

▶︎フィルムコーティングをした有名な製品
FANCL カロリミット 約90回/3袋/360粒
ファンケルのカロリミットがあります。
原材料に含まれる、緑茶エキス(成分はカテキン)に苦味があります。
それをマスキングするために、シェラックが行われています。

▶︎糖衣コーティングをした有名な製品
【第2類医薬品】正露丸糖衣(キョクトウ) 84錠
正露丸は、匂い・味に苦味があります。
糖衣コートをすることで、匂い・味を感じません。

効き目のありそうな味ではあるものの、糖衣してある方が飲みやすいですね。

糖衣コーティングとは?

糖衣コート
錠剤に、ショ糖や糖アルコール(マルチトールなど)をコーティングしたものです。
糖類以外にも、酸化チタンなどが使われることがあります。

糖衣コートをするには、糖衣を乗せやすくするために 錠剤に防水を目的として フィルムコーティングを行う。
フィルムコーティングには、後述のセラックなどを使用する。
その後、ゼラチン・アラビアゴムなどを混ぜたシロップを噴霧し、糖衣コートを行います。

コーティングの行程が2回あるので、工賃が高くなります。

フィルムコーティングとは?

フィルムコーティング
錠剤に、イーストラップ・シェラック・HPMC(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)などを噴霧します。
糖衣コートよりも、安価にコーティングできるのがメリットです。

▶︎イーストラップ
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(引用:三生医薬株式会社:コーティング錠剤)
イーストラップとは、酵母細胞壁の原料です。
錠剤に色味がつくのが特徴です。

▶︎シェラック
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(引用:三生医薬株式会社:コーティング錠剤)
シェラックとは、カイガラムシの分泌液を精製したものです。
透明〜少し黄色が特徴です。
ネイルにも使いことがあるので、知名度は高いかもしれません。

▶︎ツェイン
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(引用:三生医薬株式会社:コーティング錠剤)
トウモロコシから抽出した非水溶性のタンパク質です。
透明が特徴です

▶︎HPMC(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)
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(引用:三生医薬株式会社:コーティング錠剤)
HPMC(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)とは、水溶性のセルロースです。
セルロースは、植物の細胞壁です。
水溶性のため、コーティング後の崩壊性への影響が少ないものの、透湿度が高く 吸湿しやすいのがデメリット。

滑沢剤の特徴と効果

滑沢剤の特徴と効果

滑沢剤とは?

打錠を圧縮する際、杵の表面に付着するのを防いだり、流動性を良くすることで臼への充填適正を上げてくれるため打錠品には必ず配合を行います。

滑沢剤の効果

滑沢剤の効果は、以下の3つが有名です。

効果①:粉体の流動性を高め、臼への充填適正を上げます

効果②:粉体と臼杵との摩擦を低減させ、圧縮性・放出性を高める

効果③:杵先、臼壁との付着を防止し、錠剤に光沢を与える。

滑沢剤は、多すぎても少なすぎても効果を発揮できません。
滑沢剤が多すぎると、粉体の結合力が低下し打錠障害に繋がることが知られています。

滑沢剤の種類と特徴

健康食品では、ステアリン酸カルシウムを使うことが一般的です。
脂肪酸系の滑沢剤は、少量で効果を発揮するのが特徴です。

天然系滑沢剤

タルク

タルク
(引用:タルクって何?悪いものなの?
タルクとは、滑石という鉱石を微粉砕したものです。
タルク=悪いものというイメージからか、使用されることはありません。

硬化油、ミツロウ

ミツロウ
(引用: 蜜蝋について
硬化ナタネ油、ミツロウなども、滑沢剤の効果があります。
融点が低いのがネックだが、食品添加物不使用の錠剤を作る際に選択肢に入る。

脂肪酸系

ステアリン酸カルシウム

錠剤を設計する際、ステアリン酸カルシウムを使うのが一般的である。
医薬品では、ステアリン酸マグネシウムを使うことが多い。

参考
医薬品製剤化方略と新技術 (ファインケミカルシリーズ)

打錠中に硬度が変化する原因

打錠中に硬度が変化する理由

工場で打錠機にて生産していると、問題になるのが打錠中の品質の変化です。
打錠開始時に硬度を設定して打錠を行っても、打錠終盤には規格が逸脱することもあります。
そのため、ロット間で品質を一定にするために 時間経過ごとでサンプリングを行わなければいけません。

打錠中に硬度が上昇する場合、および硬度が低下する場合の原因を見てみます。

硬度が上昇する場合

打錠中に硬度が上昇していく理由は、

①杵と錠剤との摩擦により 杵が熱を持ち膨張している。
②ホッパーから粉体の供給量が多くなり、重量が増え硬度が上昇する

が考えられます。

硬度が低下する場合

打錠中に硬度が低下していく理由は、

①フィードシュー(充填装置)内で、滑沢剤が過剰混合状態になっている
②ホッパーから粉体の供給量が少なくなり、重量が減り硬度が低下する

が考えられます。

参考
製剤の達人による製剤技術の伝承 上巻 経口投与製剤の製剤設計と製造法

打錠障害キャッピング・ラミネーションの原因と対策

打錠障害キャッピング・ラミネーションの防止方法

キャッピング・ラミネーションとは?

キャッピング
(図:キャッピング)
キャッピングとは、錠剤の上下が剥がれる現象です。
ラミネーションとは、錠剤の中間部が層状に剥離する現象です。
どちらも、錠剤の表面が剥離してしまう現象です。
錠剤に打圧が均一にかからず歪みが起こるため、一部が剥がれたり層状に剥離しがおきます。

基本的に起こる原因は、錠剤が空気を抱え込んだ状態で打錠されており、十分に脱気されていないことが原因です。

キャッピング・ラミネーションの問題点

キャッピング・ラミネーションを起こしたは、外観不良のクレームに繋がります。
検品で、該当する錠剤を省いたとしても 後工程でのコーティング、充填、輸送時での衝撃で簡単に割れかねないので、キャッピング・ラミネーションを防ぐ処方設計をする必要があります。

キャッピング・ラミネーションの防止策

防止するには、破壊応力に耐えられるまで錠剤の硬度を出しやすいように変更必要があります。
キャッピング・ラミネーションを起こしやすい処方は、硬度が出にくい傾向にあります。

硬度を高めるために行えることは以下のことです。
①打圧を弱める
→打圧を抑えることで、臼壁と錠剤との間に発生する応力を抑えることで 粉体全体に均一に打圧がかかりやすくなります。
臼壁と錠剤の摩擦が減り、応力破断面が形成しにくくなります。

②回転数を落とす。
→回転数を落とすことで、圧力をかける時間が長くなり 粉体に均一に力を加えることができます。
また、予圧の段階で脱気を十分することにつながります。

参考
製剤の達人による製剤技術の伝承 上巻 経口投与製剤の製剤設計と製造法

打錠障害と主な原因

打錠障害と主な原因

打錠障害をまとめると、以下のようになります。
詳細についてみていきましょう。
打錠障害

錠剤の圧縮時のイメージ

錠剤の圧縮
打錠時のイメージは上記の図です。
錠剤の変化は次の2点

①圧縮時に錠剤内部に応力・密度に分布が発生
→内部構造が均一でないことから、打錠障害を起こす要因になる。

②逃げ場を失った空気が閉じ込められる
→粉体の間に空気が入ることで、結合力が低下し打錠障害を起こす要因になる

キャッピング

キャッピング
キャッピングとは、錠剤の上下が剥がれる現象です。

ラミネーション

ラミネーション
錠剤の中間部が層状に剥離する現象です。

キャッピング、ラミネーションともに 原因が同じ打錠障害です。
顆粒側の原因は、
・滑沢剤過剰
・滑沢剤混合不足
・粉体の結合力不足
・顆粒の水分不足

打錠機の原因は、
・打錠速度が速い
・打圧過剰

になります。
対策については、もう少し詳細に打錠障害キャッピング・ラミネーションの防止方法にまとめました。

硬度計で硬度を測定する際、普段と違う方向に割れてしまう時などは キャッピング、ラミネーションを疑います。
錠剤に打圧が均一にかからず歪みが起こるため、一部が剥がれたり層状に剥離しがおきます

バインディング

バインディング
バインディングは、臼壁での摩擦で錠剤側面に傷が入る現象です。

スティッキング

スティッキング
杵に錠剤が付着し、錠剤の一部が割れる現象です。

バインディング・スティッキングともに、原因は同じ打錠障害です。

顆粒側の原因は
・滑沢剤不足
・粉体の微粉が多い
・顆粒の乾燥不足

打錠機側の原因は
・打圧不足
・杵先、臼壁の汚れ、傷

になります。
臼と杵との間で摩擦により、粉体の融解が発生し、溶けたものが杵に付着します。
その状態で打錠を行うため、錠剤に傷や凹みが発生します。

参考
図解 製剤学 (みてわかる薬学)

第93回薬剤師国家試験(平成20年3月)
※打錠障害の図を引用

製造方法を工夫してスケールアップを行うアプローチ:直接打錠法・乾式顆粒圧縮法・湿式顆粒圧縮法

錠剤の製造方法と特徴

錠剤の製法は、粉体の特性に合わせる必要があります。

錠剤の製法は、配合素材を工夫してスケールアップを行うアプローチと 製造方法を工夫してスケールアップを行うアプローチ方法があります。
配合素材を工夫してスケールアップを行うアプローチについては、錠剤設計初心者は配合素材の目的を知ることから始めようで紹介しました。

今回は、製造方法を工夫して 工場でサプリメントを大量生産する方法を学びましょう

まずは、錠剤を生産するための打錠機についてから始めます。
打錠機は、ロータリー式成型機が一般的です。
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(引用:第一薬品産業:工場設備
ロータリー式成型機の原理は、ホッパーから粉が打錠機の回転盤に供給され 回転盤にはたくさんの臼と杵(上下にセットされている)がくっついています。
それを圧縮することで、錠剤が得られます。

展開図は以下のとおりで、回転盤に複数の金型(上杵・下杵・臼)をセットし、これが1回転する間に ①粉末の充填 ②圧縮成型 ③製品の取り出しという一連の作業を連続的に行うものです。
ロータリー型
(引用元:菊水製作所.ロータリー式成型機

錠剤を成形するには、硬度重量の管理が大切です。

硬度の調整は、打錠圧をコンピューターで制御して行います。
打圧をかける場所は2箇所あり、予圧ロールと本圧ロールです。

予圧ロールでは、軽く力をかけ成形を空気抜きを目的としています。
空気抜きを抜くことで、キャッピングなどの打錠障害を起こしにくくします。

本圧ロールでは、強く力をかけ錠剤が規定の硬度に収まるように成形します。

重量の調整は、下杵の距離を調整することで行います。
粉体の充填部分には、オープンフィードシューといった粉の動きを補助する機械がついています。

錠剤を成形する方法はわかりました。
ようやく、本題である「直接打錠法」・「乾式顆粒圧縮法」・「湿式顆粒圧縮法」に移ります。
錠剤を成形する一般的な方法は、「直接打錠法」です。
これは、混合した粉をそのまま錠剤にする方法です。

一方で、この方法だと成形性が悪い場合があります。
そういった場合、「乾式顆粒圧縮法」と「湿式顆粒圧縮法」いった 粉体に加工を行い 成形性を底上するというアプローチがあります。

1.直接打錠法

直接打錠法は、有効成分に添加物を加えて 混合したものを圧縮成型するものです。
工数が少なくて済むことから、安価に製造できることが特徴です。
サプリメントではもっぱら、直接打錠が選択されます。

圧縮性の高い賦形剤や粉体の粉流れを良くするために滑沢剤などを添加することで、安定的に打錠することができます。

▶︎製造フロー
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(引用元:特許庁:標準技術集(農薬製剤技術)データベース:造粒、成形技術

2.乾式顆粒圧縮法

乾式顆粒打錠法はローラー圧縮法等で添加剤と有効成分を混ぜて均一な顆粒を作り、得られた顆粒を打錠する方法です。
粉体が吸湿性であったり、水や熱に不安定であったり、流動性が低く密度が小さいなどの場合に選択肢になります。
コストがかかるので、サプリメントで使用されることはほとんどありません。

▶︎ローラー圧縮法
フロー(バインダー添加・造粒)
(引用元:クリモト:MRCPローラコンパクタ(乾式圧縮造粒機)
粉末をローラー圧縮により板状に成型し、これを粉砕することで顆粒が得られます。

▶︎製造フロー
Image440
(引用元:特許庁:標準技術集(農薬製剤技術)データベース:造粒、成形技術

3.湿式顆粒圧縮法

造粒顆粒を用いることによりホッパーから臼への供給が確実になり、キャッピング等の打錠障害のリスクが減ります。
また、有効成分が均一になることから 成分の偏りが大幅に減ります。
医薬品ではもっともポピュラーな打錠法です。

粉体の造粒方法は、主に3種類(押し出し造粒、流動層造粒、攪拌造粒)です。

▶︎押し出し造粒
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(引用元:株式会社大川原製作所:スクリュー型押出造粒機
結合剤などの粉体に液を加え混練し、スクリュー、ローラーなどで圧力をかけ押し出します。
円柱状の大きな顆粒が作れることが特徴です。
一方、工数が多くかかりコストが高くなりやすいです。

▶︎流動層造粒
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(引用元:特許庁:標準技術集(農薬製剤技術)データベース:造粒、成形技術
粉体に液と熱風を交互にかけ、粒同士が架橋構造をつくることで造粒を行います。
1つの装置で、造粒と乾燥ができることから 安価に作れるメリットがあります。

▶︎攪拌造粒
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(引用:DNS:造粒の方法
攪拌羽根と剪断羽根を同時に回転させた状態で、液を噴霧し造粒を行います。
仕込み量が少ないので生産効率と生産コストがネック。

▶︎製造フロー
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参考
特許庁:標準技術集(農薬製剤技術)データベース:造粒、成形技術

図解 製剤学 (みてわかる薬学)

サプリメント錠剤設計における賦形剤選択まとめ

サプリメント錠剤設計における賦形剤まとめ

賦形剤とは、機能性成分の量が少ない場合に1粒あたりの配合量を調整するために配合します。
具体例を交えて、賦形剤の必要性を見てみよう。
例えば、カフェイン100mgを1日服用する錠剤を考えよう。
カフェインは苦いので、粉で飲むよりも錠剤で飲むのが適切です。

有効量を設定した後は、工場で大量生産する必要があります。
その際、問題となるのは杵のサイズ、及び打錠適正です。

設計での問題1:杵のサイズ(重量)の問題

杵
100mgを打てる大きさの杵がない場合は、他のサイズ(例えば300mg打てる8φなど)を検討しないといけません。
そうなると、賦形剤を混ぜ 増量する他ありません。

設計での問題2:打錠適正の問題

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カフェイン100%で打錠できれば良いですが、普通は 結着剤・滑沢剤などを配合することで錠剤への適性をあげる必要があります。
スケールアップする際に、滑沢剤の量を微調整できるように配合に余裕がある必要があります。
その際、役に立つのが賦形剤です。
滑沢剤を0.5%増やして、賦形剤を0.5%減らせば 錠剤の重量を変えることなく配合検討が可能です。
また、賦形剤自体にも 粉体の結合力をあげる能力があるので 錠剤の適正をあげるのに役にたちます。

サプリメントに使用する賦形剤の特徴を見ていこう

健康食品だと、還元麦芽糖水飴・でんぷん・麦芽糖 が使用されることが多い
理由は、この3種類は安価な上、吸湿性も低く安定性が高い原料だからである。
噛んで食べるチュアブルタイプだと、清涼感を求めてソルビトールを選択するときもある。

配合する原料との相性から賦形剤は選択されるので、他にもたくさん種類がある事は頭に入れておいて欲しい。

麦芽糖

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(参考:林原:サンマルトの物性と打適
麦芽糖は、比較的吸湿しにくいため、錠剤の賦形剤として使用される事が多いです。
麦芽糖の製法により、錠剤適性が変わります。

結晶化後に粉砕して製造する麦芽糖は、直打に優れます(写真1:サンマルトミドリ)
微粉で表面がゴツゴツしているため、粉同士の決着力が良いのが特徴です。

一方、スプレードライで製造される麦芽糖は、粉体の流動性が良く、錠剤の崩壊性が良いという特徴を持つ(写真2:サンマルト-S)

還元麦芽糖

麦芽糖は1gあたり約4kcalで二糖類に分類されるのに対して、還元麦芽糖は、1gあたり約2kcalで糖アルコールに分類されます。
糖アルコールであることから、アミノ酸などと反応せず 安定性に優れるのが特徴です。
甘味度は砂糖の70〜80%のため、甘さが十分あり 噛んで食べるタイプの錠剤と相性が良い。

澱粉

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(参考:FREUND:パーフィラー®102
でんぷんは、高い流動性を持ち 硬度も十分出るので直打用の賦形剤として適当です。
硬度と崩壊のバランスがよく、崩壊性が懸念の処方に使用することが多いです。

ソルビトール

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ソルビトールは、チュアブルタイプの錠剤に使用されることが多いです。
最大の特徴は、水に溶解する際に吸熱反応を起こし、口の中でひんやりとした感触があることです(清涼剤)。

そのため、ミント系のタブレット(フリスク、ミンティア)では必ず使用されます。

乳糖

乳糖不耐症(乳糖を分解できず、消化不良や下痢などの症状を呈する)イメージから、サプリメントで利用されることは少ない。
医薬品では使用されることも多く、いろんな型番があるのが特徴。
例えば、粒度分布が規格化し 混合性や流動性を高めた製品が発売されている。

医薬品レベルに品質の高いサプリメントを設計するため時に使います。

錠剤設計初心者は配合素材の目的を知ることから始めよう

錠剤設計のための基本となる知識

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錠剤(タブレットタイプ)の案件を初めて担当した人は、錠剤に配合する原料がどういった用途で配合しているかを理解することが大切です。
錠剤に配合する原料の目的を知ることで、硬度が出ない・原料の苦味をマスキングする といった問題の対処がしやすくなるのです。
例えば、生薬エキスをたくさん配合したタブレットはとても渋いですが、コーティング剤を追加(表面をコーティング)すれば渋さを感じなくなります。

錠剤を作るには、上記①〜⑦の原料の組み合わせで作られます。
各要素を意識して設計することで、錠剤設計の基本を学びましょう。

①機能性素材・有効成分は、錠剤のコンセプト!

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錠剤のメリットは、1粒あたりで有効量を管理しやすい点です。
タブレットを設計する際、一番最初に考えるのは有効成分をどんな素材を配合するか? どれくらいの量を入れるかが大切です。

そのため、1粒あたりの有効成分の量は100mgなど キリの良い数字が好まれます。
配合量を増やすことで少ない錠剤の数を飲めばよくなるので、消費者のメリットにもつながります。

しかし、錠剤の製造性に悪影響を与えるような機能性成分の配合量が多くなればなるほど、タブレットを成形する素材が減りますので難易度が上がるうえ、エキス類を配合すると吸湿で錠剤に斑点が発生したり といった品質の劣化に招く要因にもなります。
量産化の難易度と、消費者のベネフィットを天秤にかけながら、常に処方設計しましょう。

②賦形剤は、カサ増し+結着力を高めてくれます

砂糖
賦形剤はいわゆる増量剤みたいなもので、その他の成分を増減するときに削ったり増やしたりします。
成形性が高いこと、安価であることが条件に選ぶことが多いです。

賦形剤は、生理活性のない「麦芽糖」「マルチトール」「還元麦芽糖」などの糖類が使用されることが多いです。
その他にも、「澱粉」なども使用されます。

③結合剤は、錠剤を固めます

キャッピング
(図は、キャッピングの様子)
結合剤は、粉同士の決着力を上昇させたり硬度を高めてくれる素材です。
原料としては、セルロース(植物の細胞壁の主成分)を使用するのが一般的です。
植物の茎がぴんと張ってのは、セルロースのおかげと言えます。
錠剤も結合剤がなければ脆くボロボロと崩れてしまうのですが、結合剤を配合することでカッチリと固めてくれます。

結合剤が不足しているとキャッピング(錠剤が帽子状に剥離する現象)やラミネーティング(錠剤が層状に剥離する現象)といった不自然な錠剤の割れ方がみられます。

④滑沢剤は、錠剤表面に付着して摩擦を減らす効果

滑沢剤_原理
滑沢剤とは、錠剤表面に付着することで 摩擦を減らす効果があります。
滑沢剤の作用=油のツルツル テカテカのイメージが良いと思っています。
床に油が溢れていたら、摩擦がほとんどないので転けてしまいますね。
滑沢剤(成分は脂肪酸などの油)も、粉体にくっついて ツルツル の物質に変化させます。

もう少し専門用語を使うと、粉体同士の摩擦を減らすため、粉の動きをなめらかにし臼穴に均一に粉が供給されやすくなる(流動性改善)ことを改善したり、錠剤が圧縮される際 粉体と杵との摩擦が減ることで 杵と錠剤との付着を防ぐ(スティッキングの防止)作用があります。
臼穴に粉が均一に供給されず 重量がばらつくといった流動性に紐づくトラブルは試作スケールでの検討では 問題なることが少なく、工場での大きなスケールで 長時間生産を行うことで問題が発覚することが多い現象です。

試作スケールで滑沢剤が必要なさそうな錠剤でも、滑沢剤を添加しておくことはトラブルへの保険として大切です。
原料としては、ステアリン酸カルシウム、硬化油などの脂肪酸を使用します。

⑤粉体同士の摩擦を減らし、流動性を高める素材

臼
(画像引用元:NANNO:商品カタログより
流動性を高める素材には、二酸化珪素、微結晶セルロースがあります。
流動性を高める=粉同士の摩擦を減らしてくれるということです。
二酸化珪素(成分はシリカ)が流動性を改善してくれるイメージは以下の感じです
流動性改善_二酸化珪素
他の原料に付着し、接触面積が減るので摩擦が減ります。

微結晶セルロースが流動性を高めてくれる理由は、丸い形があります。
微結晶セルロースは、粉末セルロースよりも 丸型であり体積も大きいです。
他の素材と比較し、接触面積が小さく 粉体同士の摩擦が減ります。

臼穴への粉末の流れを良くすることで、錠剤の重量ブレが減り均一の品質の錠剤設計が可能です。

⑥崩壊剤とは、錠剤を水で膨潤しやすくします

崩壊剤
(画像引用元:スーパー崩壊剤の品質の特徴
崩壊剤は水を吸うと膨らみ、錠剤を壊れやすくするために配合します
基本的な打錠ではまず使用しません。
OD錠(口の中で溶ける錠剤)などを設計する際に配合します。
原料としては、でんぷん、アラビアガム糊などが使用されます。

OD錠をもっと知りたい人は、覚えておきたい! 有名な錠剤の形と特徴もどうぞ。

⑦コーティング剤は、錠剤表面を皮膜する!

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(画像引用:株式会社パウレック:コーティングとは
コーティングのメリットには、苦味を抑えたり、吸湿を抑える、腸溶性を付加する機能付加があります。

コーティング原料としては、HPMC,セラック,糖衣コートなどが健康食品では使用します。
コストがかかるため、検討は①〜⑥が終わってからが多いです。

覚えておきたい! 有名な錠剤の形と特徴

錠剤の形と特徴

錠剤と言えば、丸い形をしていてそのまま飲めるように出来るのが特徴です。
丸錠はそのまま飲めるので、苦い成分が入っていても 嫌な思いをせずに済むメリットがあります。

しかし錠剤でも、そのまま飲む 以外の使用方法もあるんです!
様々な用途で使用される錠剤の有名な形と用途を見てみましょう。

素錠(裸錠)

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表面は何も加工していない、ただ打錠しただけの錠剤です。
サプリメントだともっとも一般的な形ですね。

そのまま飲む以外にも、噛んで食べるタイプの錠剤もあります。
健康食品だと、口臭予防のサプリメントだと噛んで食べるタイプが多いです。

粉末だと口に入れると咽せてしまいますが、錠剤タイプだと美味しく食べることができます。

カラテ錠

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(参考:カラテ錠
カラテ錠は、簡単に半分に割る錠剤です。
薬の飲む量を調整することができるのがメリットです。

風邪薬などでは、体の大きい大人は1回2錠、体の小さい子供は1回1錠となっていまので量が調整しやすいですね。
それよりも、1錠をそのまま飲んだり、半分に折ったりすることで服用量を調整できるのがカラテ錠のメリットです。

サプリメントで使用することがまずありません。

口腔内崩壊錠(OD錠)

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(参考:花粉症の処方薬 クラリチンのまとめ
水なしで服用できる錠剤で、口に含むと溶けます。
技術的に難しい点も多く、サプリメントだとほとんど見かけません。
OD錠のメリットは、シーンを選ばずに飲むことが出来ます。
下痢止めのストッパは、電車内など 水を飲むことが出来ない状況でも飲むことができるようにOD錠で設計されています。
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有核錠

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(参考:エックスフォージ配合OD錠の製剤技術)
錠剤の中に、錠剤が入っているのが有核錠です。
内核に有効成分が入っており、有効成分の溶出時間を調整することができます。
有効成分が溶け出すのが遅いということは、胃ではなく腸などで溶ける錠剤の開発も可能である 他者と機能面で差別化した商品が作れます(例えば、生きて腸まで届く等)

層錠

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(参考:クラシエフーズ ネオ
2つの層からなる錠剤です。
医薬品では、2つの異なる成分を同時に摂取することができ、錠剤の数を減らせるのが特徴です。
サプリメントではないですが、フリスクNeoでも採用されている技術です。

フリスクNeoはミントタブレットの中では、高価格帯の商品であり他の商品と差別化を図るために層錠を採用しています。

まとめ

サプリメントだと、コストの面からも素錠を使うことがほとんどです。
素錠をコーティングした錠剤はたくさん見かけますね。

錠剤の基本設計で大切な硬度と崩壊時間

錠剤の基本設計で大切な硬度と崩壊時間

錠剤設計において、硬度崩壊時間さえ気をつけておけばとりあえず 製品になる といっても過言ではありません。
錠剤は 形にするために硬度が求められるのはもちろん、有効成分が体内で吸収されやすいように 崩壊時間 にも気を配る必要があるんです。

硬度とは?

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錠剤の硬度は固すぎても、柔らか過ぎても 製品として問題があります。
柔らかすぎる場合は、錠剤をボトルにつめ 店頭に並ぶまでに壊れてしまうでしょう。
一方、固すぎる場合は後述する「崩壊性」に影響を与えます。
胃の中でも溶けず、有効成分の溶出が遅くなってしまい吸収率が悪くなります。

硬度の測定方法は指の間に錠剤を挟んで割るのが錠剤の硬さを知る方法として、昔は行われていましたが現在の主流は「硬度計」を使用します。

▶硬度計
硬度計
(情報元:錠剤硬度計:フロイント産業
硬度計は錠剤の直系方向に力を加えていき、錠剤が耐えられなくなり破壊される際にかかる力を測定します。
硬度計を使うことで、錠剤に関して下記の式が成り立ちます。

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引っ張り強度σは粒子間結合力を評価する値です。
錠剤を形成している粒子間の結合力(σ)が同じでも、錠剤の大きさが異なると測定される硬度の値が異なることがわかります。
例えば、処方組みを同じで重量を増やすために、8φを9φに変更する場合を考えましょう。
簡単のために、錠厚も一定とします。
その際は、硬度は9/8倍に大きくなりますので、硬度の心配はなさそうです。
実務では、以下の形で頭に入っていると 硬度障害が出た場合に対応しやすいです。

スクリーンショット 2015-11-05 22.47.05
硬度障害が出た場合は、

D(錠剤の直径)を増やす(8φ→9φに)
T(錠剤の厚み)を増やす(賦形剤を変更する、重量をあげる)
σ(粒子間結合)を増やす(造粒打錠で結合力をあげる)

などの対処が必要です。

動いている様子はこちら

崩壊時間

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錠剤は、体内でどれ位の時間が経ったら吸収されるかの目安です。
硬度とは異なり、崩壊時間は日本薬局方に規定された60分以内という目安があります。
サプリメントは食品ですので、崩壊時間を気にせず製造するメーカーもあります。
しかし、製薬会社が作るサプリメントだと規格を満たすことが多いです。

崩壊時間をなぜ考慮するかというと、配合した有効成分がきちんと溶出されるかの目安になるからです。
医薬品を設計することを背景にした規格ですが、錠剤を作る上では大切なパラメーターと言えます。

崩壊時間と錠剤設計でなりたつ式は、下記があります。

スクリーンショット 2015-11-08 23.15.14
崩壊時間と錠剤の厚みに比例関係があることがわかりますね。
錠剤設計する上で、崩壊時間が長くなるときは 錠剤の厚みを削る必要があります。
錠剤の厚みを減らすために、賦形剤・重量を減らす等の対処方法があります。

崩壊時間を測定する機械は下記のような機械で崩壊時間を測定します。
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(参考:錠剤崩壊度試験機

参考
製剤の達人による製剤技術の伝承 上巻 経口投与製剤の製剤設計と製造法