加工食品で固結の起こる原因と防止方法

加工食品で固結の起こる原因と防止方法

造粒品を扱う上で注意したいのが、吸湿による固結です。
例えば、果糖を使った 粉末のジュースを作ったとしましょう。
果糖は吸湿しやすい素材のため、水分を吸ってしまい粉末が固結し商品性を失うことが十分考えられます。

固結とは?

固結とは、食品が吸湿し粉末粒子同士がくっつくことで塊になることを指します。
塩の固結が発生するメカニズムを考えましょう。

塩は外気の湿度の変化に応じて吸湿したり乾燥したりする。吸湿したときは表面に飽和塩水の液膜ができ、乾燥すると液膜が固体化して塩の粒を接着する
塩_固結

(引用:塩の情報室
つまり、固結が起こるのは塩の表面が吸湿して溶けたり、乾燥して結晶が成長したりする工程を何回も繰り返しますことで大きな塊に成長します。
水溶性の素材であれば、固結が起こってしまうといえるでしょう。
また、吸湿が激しい場合は固結せずに、溶けてしまいます(潮解と呼ばれます)。

固結の防止方法

固結の防止方法は、主に4種類の方法があります。
▶︎固結対策1
吸湿の防止方法と同じく「包装で外気と遮断すること」「乾燥を十分行い、水分活性を低くする」ことが挙げられます。

▶︎固結対策2
「固結防止剤を使用する方法」もあります。
固結には、二酸化ケイ素・リン酸カルシウムなどが知られています。

▶︎固結対策3
粒子間の接触を防ぐために、不溶性の物質(タンパク、デンプン、無機塩)を混合します。
不溶性の物質が多いほど、結晶が成長するのを阻害できます。

▶︎固結対策4
造粒することで、粒子の表面積を小さくします。
表面積が減ることで、粒子と水分の接触する機会が減ります。
混合品で吸湿する場合、造粒することで 水分活性が下がる+表面積が下がる恩恵を受けて、問題が解決することが多いです。

参考
食品開発の進め方

水分による食感の変化:吸湿と乾燥

水分による食感の変化:吸湿と乾燥

乾燥食品(顆粒タイプのサプリメント,シリアル,煎餅など)において問題になりやすいのが、吸湿による 食感の変化です。

日本は多湿の環境ですので、吸湿による劣化を考慮した商品設計を行わなければなりません。

食品の吸湿の状態を理解するには、水分等温吸着線を見るのが大切です。
あらゆる食品の吸湿は、下記のS字カーブを描くことが知られています。

スクリーンショット 2015-12-06 20.02.52
(改変:山口大学工学部:食品乾燥における塩の添加の乾燥速度と乾燥表面の評価
縦軸:吸湿速度
横軸:水分活性(Aw)
(水分活性については、微生物と水分活性:結合水と自由水を参考ください)
で食品の吸湿状況を表しています。
十分乾燥を行った結合水のみの場合は、吸湿は非常にゆっくり進みます。
一方、水分活性が高くなると 吸湿速度が加速的に早くなるという特徴があります。

そのため、吸湿を防ぐには最初に水分量を低くすることが大切になってきます。

また、吸湿速度は温度が高くなればなるほど、早くなることも知られています。
スクリーンショット 2015-12-06 23.38.56
(引用:山口大学工学部:食品乾燥における塩の添加の乾燥速度と乾燥表面の評価

水分活性が高くなると、劣化が早くなる

吸湿をし水分活性が高くなると、粉体がべとべとになったり塊になってしまうので 食品の風味が損なわれます。
それ以外にも、水分活性Awが高くなると 微生物の繁殖・吸湿による酸化・褐変反応の促進など様々なデメリットがあります。

吸湿の防止方法

吸湿の防止には、包装で外気と遮断することが通常です。
吸湿しやすい原料を含む場合は、乾燥剤を入れることも多いです。

賞味期限の設定・推定方法:T.T.T.法

賞味期限の設定・推定方法:T.T.T.法

加工食品の賞味期限は、一年・二年などとても長い期間が設定されます。
理想的には、2年経過品でも品質劣化が問題ないことを確認した後、商品を販売すれば良いのですが 現実だとそんな期間の余裕はありません。
そのため、加速(促進)試験を行い 賞味期限を推定することが多いです。
推定方法は、T.T.T.法と呼ばれています。

食品会社に従事する人ならば、すでに利用したことがあるかもしれませんが設定根拠について改めて見てみましょう。

T.T.T.法とは?

T.T.Tとは、Time.Temperature.Tolerance(貯蔵時間-温度-耐性)の略語です。
実際の流通温度よりも高い温度帯に晒すことで、化学変化が促進され 賞味期限を推定することができます。

賞味期限と温度の関係は、以下のアレニウス式が知られています。
変数は、T(温度)賞味期限(k)の2つです。
そのため、ある2点の温度での変化速度がわかれば、直線の傾きを推定することができます。
傾きがわかれば、あらゆる温度での賞味期限(k)が推定できるようになります。

▶︎T.T.T.法の根拠となる、アレニウス式
T.T.T.法
(引用元:農学国際特論 Ⅰ:ポストハーベスト、保存・流通(東京大学講座)より

実際の保存試験を想定してみよう

①基準温度の設定

基準温度とは、製品の賞味期限(k)の根拠となる温度です。
加速試験を行った後、アレニウス式を完成させた後 代入する温度Tです。

基準温度は、商品の保存状態を考慮した温度を選びましょう。
沖縄那覇市の平均気温や東京の平均気温を選ぶことが多いです。

②加速試験の温度設定

基準温度+10度、基準温度+20度にて、加速試験を実施します。

温度が高くなるにつれて、劣化が大きくなります。

③変化の評価

加速したサンプルを定期的に評価する必要があります。
加速時間は、1週間、1ヶ月など定期的に実施する必要があります。

変化の評価項目は、色・味・歯ごたえなど官能評価で評価することが多いです。
評価は数値ですることが必要で、以下のような感じが一般的である。

5 点:対照品と比較してほとんど差がない
4 点:対照品と比較してわずかに劣る
3 点:対照品と比較して劣るが,商品として必要な品質が保たれている
2 点:対照品と比較してかなり劣る
1 点:対照品と比較して非常に劣る

1点が変化の限界点であり、商品性をそこなうのはどのラインであるかを、明確にする必要があります。

④変化の推定

基準温度+10度、基準温度+20度で各々、保存可能期間を推定しましょう。

基準温度+10度,基準温度+20度において、官能評価で色の変化を評価したとしましょう。
基準温度+10度において、1ヶ月ごとに官能評価を行い 色差を判定します。
基準温度+10度で12ヶ月で品質の限界になり、基準温度+20度だと3ヶ月で品質の限界に達しました場合を考えましょう。
グラフにプロットすると以下の感じです。

もし仮に、品質の限界まで十分加速する時間がない場合は、何点かサンプルを判定を行いグラフをプロットすることで、品質の限界点を推定します。
TTT_変化量
次に、各温度における限界点をプロットして、アレニウス式を完成させましょう。

実際に2点を線で結ぶと下記のようになります。
TTT_アレニウス式
このグラフを利用すれば、あらゆる温度での賞味期限を求めることができるようになりました。

基準温度で、賞味期限がどれくらいになるか確認しましょう。

実際の実務ではもう少し簡便化をするために、実際に流通温度で 定期的にデータを集めている実績のある商品と同時に加速し、劣化の変化が同等程度なら 同じ賞味期限を設定することもあります。

賞味期限の設定方法については、会社の方針による部分があります。

まとめ

賞味期限を設定するには、以下の①〜③を実施する必要はあります。

①加速試験にて、不適切と判断される2点を探します
②2点間で直線を引き、アレニウス式を完成させます
③基準温度での、臭味期限を推定します。

①〜③での精度をあげるためにも、標準品を設定したり、評価項目の見直しなどが大切です。

食品で使用する天然系着色料の色素変化と注意点

食品で使用する天然系着色料の色素変化と注意点

食品の品質において、重要な指標として挙げられるのが色です。
食品に含まれる色素成分は不安定な成分であり、酸味料との組み合わせで発色が変わったり 鉄を入れると黒く濁るなど 様々なトラブルに繋がりかねません。
加工食品で使用される色素は安定性の高いものが多いですが、組み合わせに注意が必要なんです!

食品に含まれる天然色素の特徴を見ていきましょう。
色素には、合成色素・天然色素がありますが 健康食品ではもっぱら 天然系が使用されます。

ポルフィリン系色素

クロロフィル色素

スピルリナ
クロロフィル色素は、葉緑素色素として知られています。
代表的な色素はスピルリナが有名です。

熱・金属イオン(栄養強化でミネラル類を添加しやすい)に比較的安定な一方、光や酸性に弱いです。
特に、酸性化では 褐色反応が進むので注意が必要です。

詳細はこちら:健康食品開発のためのクロロフィルの退色《原理と対策》

▶︎クロロフィルの変化
クロロフィル_変化

ヘム色素

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ヘム色素とは、動物性食品に含まれる鉄分を含んだ赤色の色素です。
ヘム色素は、酸化することで鮮やかな赤色から褐色に変化することが知られています。

健康食品では使用することがほとんどないと思います。
ハムの加工では、色味をよくするために 発色剤として「硝酸塩」を使用します。
そうすることで、食肉製品に鮮やかなピンク色をつけています。
(正確なところは、食品添加物<発色剤>に詳しい)

カロテノイド系色素

カロテノイド系色素

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(引用:わかさ生活:カロテノイド
カロテノイド系色素は、赤〜黄色が特徴です。
カロテノイド色素は、 アナトー・パプリカ・クチナシ黄色素・アスタキサンチン・ルテイン など様々な食品から抽出され色素として利用されます。
注意点は、光に対しての不安定な点です。
また、酸素と反応し分解されてしまう性質を持っている。
そのため、包装使用をしっかり考える or 他の同じ色味を呈する色素を検討する必要があります。

フラボノイド系色素

フラボノイド系には、アントシアニン系とフラボン系の2種類あります。

アントシアニン系

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(引用:花の色はいろいろ
アントシアニン色素は、果実や花などから抽出される 赤・青・紫が特徴の色素です。
赤キャベツ・アカダイコン・紫トウモロコシなどから抽出されます。

phにより、色味の発色が異なります
酸性では赤、アルカリでは青になります。
食品で注意が必要なのは、酸味料を使用する時です。
着色料の検討をする時は、pHを固定してから行う必要があります。

▶︎アントシアニンの変化
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フラボン系

イソフラボン
フラボン系は、無色〜薄黄色が特徴です。
色素として使用することはないのですが、鉄などの金属反応し 色が変色(黒く濁る)することが知られています。
健康食品では、イソフラボンやカテキンなどが有名なフラボノイドです。
これらと一緒に鉄などを添加する時は、コーティングされた鉄を使いましょう。

▶︎フラボンの色素の変化
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その他の色素

クルクミン

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クルクミンはウコンに含まれる黄色の着色料です。
着色料としてよりも、機能性素材として配合されることが多いです。
光に弱いので、注意が必要。

キノン系色素

赤色の色素として、ラッカイン酸(ラッカイガラムシの分泌する色素)。
これは、錠剤のコーティング(セラック)として使用されることが多い。

コチニール色素は、エンジ虫から抽出される赤色の色素です。
コチニール色素を含む飲料で急性アレルギー反応(アナフィラキシー)を起きたことがあり、健康食品では使用されることはほとんどありません。
熱に安定なので、練り物・菓子類に使用されます。

まとめ

天然色素をざっと、見てみました。
色素はまだまだ種類がありますが、普段利用することの多い 原料の特徴を簡単に解説しました。

色素と聞くと、安定しているイメージがあるものの 条件次第では 色味が変化してしまう色素が多いです。
着色料=万能ではなく条件次第では色が変化するということが理解していただければ と思います。

参考
引用及び色素変化の写真の引用調理科学実験B,C(6回目)

健康食品開発のためのクロロフィルの退色《原理と対策》

健康食品開発のためのクロロフィルの退色《原理と対策》

クロロフィル(葉緑素)の退色も加工食品の外観の劣化でよく出会う問題です。

クロロフィルは、植物細胞内では タンパク質と結びついているため安定している。
しかし、酸性化では 緑色のクロロフィル褐色のフェオフィチンに変化します。

クロロフィルを含むほうれん草を様々なpHの溶液と混ぜる場合、塩酸と混ぜた時最も茶変をします。
クロロフィル_変化
(引用元:食品学実験1/管3/天然色素に関する実験1

青汁や野菜ジュースなどのクロロフィルを多く含む原料を配合する際に、酸味料を入れる時は 緑色の色素を加えることで劣化を誤魔化すことができます。
ビタミンの強化目的で、ビタミンCを配合すると茶変の原因になるため注意が必要であります。

また、クロロフィルの分解は酸素・光・水分・温度など影響を受けます。
できるだけ、クロロフィルの分解を遅くするには、遮光・密封できる包装形態を選択する必要があります。

また、原料の加工時にブランチング(湯通し)を行い、酵素を失活させることで色味の劣化を抑えることができます。

まとめ

クロロフィルは、緑が茶になるため 賞味期限が短くなりがちです。
クロロフィルが入っているのは、緑色の天然原料(ほうれん草・パセリ・セロリ・大麦若葉などの野菜がメイン)。

特に注意点は、pHです。
酸味料を入れていないから大丈夫と思いきや、VCやレモンなどの原料が溶液を弱酸性にし 外観の変化を早めていたということが多いです。

健康食品開発のためのメイラード反応《原理と対策》

健康食品開発のためのメイラード反応《原理と対策》

アミノ酸
メイラード反応は、アミノ酸と糖が反応して 褐変する現象です。
加工食品の色味の変化は、メイラード反応であることが多いです。 加工食品の賞味期限設定では、味の変化よりも外観の変化の方が影響が大きいため、メイラード反応による褐変は深刻な問題です。
同様の反応に、ビタミンCがアミノ酸・タンパク質などと結びついてメイラード反応のような褐変化を起こすことも知られています。

健康食品ではビタミンCを配合することが多いので注意が必要です。
特に美容系のサプリメントだと、V.Cとコラーゲン(タンパク質)、V.Cと必須アミノ酸といった 技術者には嬉しくない組み合わせが多い。

メイラード反応を防止するのは難しいので、反応速度を遅くする or 着色して誤魔化すのが一般的です。

メイラード反応の反応速度に関わる因子

アミノ酸

アミノ酸の種類により、褐変のしやすさが異なります。
(グリシン及び塩基性アミノ酸が反応しやすい)
ただ、健康食品の場合 アミノ酸は訴求成分として使用するため変更が難しい。
そのため、他の因子で反応を遅らせることを目指しましょう。

メイラード反応では、糖の還元末端基 と アミノ酸の2つが反応に関わるため 直接還元糖を多く含む グルコース(ブドウ糖)・フラクトース(果糖)・乳糖・デキストリンが注意が必要な原料に当たります。

健康食品では、増量剤として デキストリンを使用することが多い かつ 糖のイメージがないので メイラードの原因だと気付きにくいため注意が必要です。

pH

pHが高いほど褐変が早いことが知られています。

水分

顆粒の健康食品では、水分が高いほど褐変しやすいためできるだけ水分を下げることが求められる。
一方、グルコース(ブドウ糖)・フラクトース(果糖)が水分を保ちやすく 乾燥しにくい。

水分を下げるのは、簡単なようで難しい。

温度

温度が高ければ高いほど、反応速度が早い
賞味期限の設定の時、高温槽で加速して 褐変がひどい場合でも常温で長期間保管したものを観察すると全然変化していないことも多い。

加速試験の際、褐変の原因がメイラード反応ならば 過去の常温の安定性試験を見返し 試験の計画を練りなおそう。

まとめ

加工食品の外観の変化は、メイラード反応以外にも、ポリフェノールによる、酸化酵素反応が有名です。

参考
食品開発の進め方

微生物と水分活性:結合水と自由水

微生物と水分活性:結合水と自由水

水分活性は微生物の増殖に影響を与えるため、水分活性を抑えることが大切です。
また、微生物の繁殖以外にも水分を抑えることで、様々な反応を抑えることができるので安定性の向上にもつながります。

水分活性を理解するためには、結合水と自由水について理解することが必要です。

結合水と自由水と水分活性

食品中の水分は、「結合水」と「自由水」に分けられます。

▶︎結合水
食品を構成する物質(糖質・タンパク質 等)と結合しており 自由に動き回ることができません。
そのため、微生物は結合水を利用することができません。

▶︎自由水
結合水以外の、束縛されていない水です。
微生物が利用できる水分です。
微生物の増殖を考える際は、自由水の量を基準に考えます。

▶︎水分活性
水分活性とは、全ての水分の中で自由水がどれくらい存在するかの目安です。
算出方法は以下の式になります。

水分活性_自由水
水分活性は低ければ低いほどよい。
しかし、水分活性を下げると 食品の品質(味・テクスチャー等)が変化するため難しいところです。
水分活性を下げるために、砂糖を糖アルコールなどに置き換えることが考えられます。
目安として、各種微生物が生息する最低水分活性を見てみよう。

微生物 最低水分活性
細菌 0.91
酵母 0.88
カビ 0.8

自由水と結合水のイメージ図

▶︎食品と水分の結合のイメージ図
食品に含まれる、たんぱく質(アミノ基(NH2)やカルボニル基(-COOH))や糖質(-OH基)と水素結合することで、食品の表面に留まります。
これを結合水と呼びます。
結合水_自由水_食品表面

▶︎結合水と自由水のイメージ
次に、食品表面よりも外側に目を向けましょう。
食品との表面にいるのは、結合水です。
水素結合は非常に強力なので、非常に安定した状態と言えます。

その上には、準結合水と呼ばれる層があります。
自由水と比較すると、自由度が低く蒸発しにくい性質を持っています。

そのさらに上の層は、食品表面の影響を受けない層になっています。
これを自由水と呼びます。
結合水_自由水_水分子

まとめ

水分が多いドリンクなどは、無菌充填を採用することで 菌類は入らないようにしています。
菌が入ること前提の商品では、水分活性を減らすことが大切です。

今回は、菌の増殖には 自由水分が必要であること。
自由水分を減らすことが、菌の増殖を抑制することを理解してもらえればと思います。

参考
食品開発の進め方

健康食品開発のための酵素による劣化《原理と対策》

健康食品開発のための酵素による劣化《原理と対策》

健康食品は、加工度の高い原料を扱う事が多いので 酵素を熱処理などで不活性にしていることが多いです。
そのため、問題となることは多くありませんでした。
しかし、ここ最近 酵素ゼリーや酵素入りスムージーなど 酵素を売りにした製品が増えました。
そういった環境を踏まえると、酵素について知識を持つことが大切です。

酵素とは?

 酵素
酵素とは生体で起こる化学反応に対して触媒として機能する分子を指し、タンパク質からなります。

タンパク質を分解する、プロテアーゼ。
炭水化物を分解する、アミラーゼ

などの酵素は有名ですね。
酵素反応の代表例は、野菜です。
野菜を未加熱の状態で、加工食品に添加すると保存中に酸化反応し異臭を発生します。
そのため、加工食品に利用される野菜粉末はブランチング処理を行います。

食品と酵素の反応には、主に2種類あります。
それは、「加水分解酵素」と「酸化酵素」です。

加水分解酵素

150706_AN_gohan
加水分解酵素とは、タンパク質を分解する「プロテアーゼ」、炭水化物を分解する「アミラーゼ」などによる反応を指します。
でんぷんの含まれる、加工食品に「アミラーゼ」などが含まれている場合 でんぷんが分解されてしまい 食感が変わることがあります。

余談ですが最近流行りの酵素は、こちら側の「加水分解酵素」を指します。
(いわゆる、消化酵素・代謝酵素など)

粒子が移動できない形態(顆粒・錠剤など)では加水分解酵素の働きがほとんど見られませんが、粒子の移動が自由な液もの(ドリンク・ゼリーなど)では酵素を配合すると 加水分解が問題になり 安定性が悪い方向に向かいやすいです。

酸化酵素

りんご
褐変反応の多くは、フェノール類の酸化重合反応です。
りんごを切ると、断面が黒くなります。
それは、りんごに含まれるポリフェノールと空気が酸化反応を起こしているからです。
酸化のデメリットは、外観の変化以外にもビタミン・アミノ酸の分解も伴うため、栄養の低下も招きます。

ポリフェノール類の多くは、脂肪減少効果が認められていることが多くサプリメントに使用することが多いです。
ポリフェノールを含む原料を扱う場合は、安定性に注意しましょう。

食品中の酵素反応の対策

酵素反応は、温度・pHに依存するため、pH(4以下)調整、低温にすることが望ましいです。
その他に、原料加工工程における酸素の除去、アスコルビン酸などの酸化防止剤で反応を遅らせることが挙げられます。

参考
食品工業技術概説

食品開発の進め方

健康食品開発のための油脂の劣化《原理と対策》

健康食品開発のための油脂の劣化《原理と対策》

脂肪分は、食品の風味を高めてくれる重要な要素です。
健康食品では、油脂の多い原料は高カロリーになってしまうため 避けられがちだったものの ローフードや木の実に含まれる脂肪酸などの健康素材に注目が集まり利用される機会も増えました。

今後、健康食品の嗜好性の高まりや、脂肪酸を多く含む原料を扱う際に注意したい、油脂の酸化を学びましょう。

油脂の劣化とは?

油の劣化とは、
①脂肪酸に酸素が結合する、酸化
→臭いの悪変

②トリアシルグリセロールが分解していくこと,あるいは,重合していくこと
→物性の変化(粘度の変化等)

を指します。
特に食品で問題になるのは、油脂の酸化です。
人間の鼻は最も 感度の高い器官ですので、臭いの劣化の目安が賞味期限設定の目安になることが多いです。

油脂の自動酸化

二重結合を2個以上持つ不飽和脂肪酸は空気中の酸素と反応して ゆっくり酸化していきます。
つまり、不飽和度の高い脂肪酸ほど、酸化のスピードが速くなります。

下記は、脂肪酸の割合を油ごとに記したものです。
二重結合の多い脂肪酸を多く含む、大豆油は劣化が大きいです。
一方、オリーブ油は酸化に対して安定的である。
faq_01_1_img02b
(引用元:関西食文化研究会

そのため、長期保存を前提とする製品では使用するのは好ましくありません。
劣化を防ぐために、酸化防止剤としてビタミンEを配合することが多いです。

酸化促進因子

油脂の酸化を要因に、①重金属、②光、③酵素 の存在が反応を促進することが知られています。

▶︎重金属
食品に含まれる、鉄・銅が問題になることが多いです。
健康食品だと、鉄を栄養強化目的で配合することが多いので注意が必要です。
また、製造装置からの混入も考えられます。

▶︎光
光がクロロフィルやリボフラビンなどの色素に吸収され、そのエネルギーが酸化反応を促進することが知られています。
また、紫外線なども原因になりますので、アルミ等透過性の低い包材を使用することが大切です。

▶︎酵素
リポキシゲナーゼは、油脂の酸化を促進します。
例としては、大豆の豆臭はリポキシゲナーゼ反応により生じるヘキサナール、ヘキセナールの香りです。

健康食品で使用される 油脂の特徴

健康食品で使用することの多く、油脂の多い素材を見てみよう。

ナッツ類などの木の実系

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(引用:日本スーパーフード協会 
ナッツ類にはアーモンド・ゴマ・ピーナッツはもちろん、スーパーフードとして注目されることが多くなったインカインチ・ココナッツ・ヘンプなども含まれます。
ゴマ・アーモンドなどにはビタミンEが多く含まれるので、ビタミンEが酸化防止剤として働き劣化しにくいことが知られています。

オリーブオイルなどの香りを楽しむ油

亜麻仁油(フラックスシード油)
(引用:日本スーパーフード協会 
健康食品で注目されていている、α-リノレン酸などは酸化しやすいので注意が必要である。
健康食品では、複数の油をブレンドしたり 栄養強化することも考えられるので 酸化防止剤を配合するのは必須です。

乳由来の原料

ミルク
乳に含まれる、不飽和脂肪酸が問題になることがあります。
脱脂粉乳や香料を使用することで 擬似的に似せることも選択肢の一つです。

大豆由来の原料

大豆
大豆は、不飽和脂肪酸を多く配合する原料です。
安価なタンパク源として、健康食品での利用も多いです。
そのため、風味の劣化の一因として 油脂の劣化があることを認識しておくことが大切です。

対策まとめ

酸化防止剤として、ビタミンEを配合することが一般的です。

参考
フードトラップ 食品に仕掛けられた至福の罠

油脂の劣化について

健康食品開発のためのでんぷんの老化《原理と対策》

食品の劣化:でんぷんの老化

健康食品だと、でんぷんをメインに使用した商品は少なく問題になることは少ないです。
しかし、食品を扱う上では非常に重要な現象なので、理解しておきましょう。
私たちの身の回りにある、「澱粉の老化」は ご飯の保存にあります。
炊いたご飯を保存するには、冷蔵ではなく冷凍します。
その理由は、米の老化は2〜4度でもっとも進みやすいです。
一方、-20℃付近まで冷やすと一気に冷やすと老化しにくくなるので、レンジで解凍しても美味しくたべれますね。

でんぷんの老化が問題となる商品は、

①冷凍食品
ビュッフェパンケーキ(38g×8枚)×5組 冷凍

→冷凍麺などは、でんぷんの塊。
冷凍のパンケーキなどもでんぷんの老化が気になる製品です。

②中華のたれやホワイトソース
ハインツ ホワイトソース290g×4缶
→とろみは、小麦粉などでつけられる。

上記の加工食品では、でんぷんに処理を加えた 加工澱粉を使用したり、糖類・乳化剤を添加することで老化を抑えている。
具体的に、澱粉の老化の原因と対策を見ていきましょう。

澱粉の老化 とは?

でんぷんの老化
(引用元:なぜ麺はのびるとまずいのか?~即席麺の作り方と「マルちゃん正麺」がおいしい理由~
澱粉の老化とは 食感がぼそぼそとする感じです。
現象で見てみると、次のようになります。
①澱粉は水を加えて加熱すると、ある温度以上で水を吸収して膨張する(アルファ化)
②低温で保管することで、徐々に澱粉分子同士がくっつき、水が排出されます(老化)

澱粉の隙間にあった、水がなくなることで弾力がなくなり 乾燥状態に近づきます。

要素別に見る、澱粉の老化

澱粉の性質を踏まえて、商品設計をしたい。

pH

pH 5~7で老化速度が速いことが知られている。
弱酸性の方が、水素結合を形成しやすくなり、澱粉分子同士が結合するからである、
(参考:澱 粉 と シ ョ糖 脂 肪 酸 エ ス テ ル の 相 互 作 用 に 関 す る 研 究

温度

澱粉の老化は2〜4度でもっとも進みやすい。
冷蔵保管で保管する製品を設計する上では、澱粉の老化は非常に厄介である。

温度による、劣化を避けるために 急速冷凍という技術があります。
冷凍麺は、30分以内に、中心温度を-1-5度未満にしています。

水分

水分が多いほど、澱粉の老化がしやすいことが知られています。
水分10〜15%以下の低水分食品(ビスケット等)は 水分が自由に動ける状態でないので、老化が進行しにくいです。

薬を飲むのに使用される、オブラートなども 水分が低いので澱粉の老化を防いだ技術の一つです。

澱粉の種類:アミロースとアミロペクチン

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(引用元:和菓子技術者になるための必須知識)
でんぷんはブドウ糖がつながってできた炭水化物です。つながり方により、1直線につながったアミロースと、枝分かれ したアミロペクチンの2種類に分けられます。
アミロースは1直線なので、水を離しやすいので老化しやすいです。

アミロース含有量の低い澱粉を選択することで、老化を防ぎやすくなります。

老化を防ぐことのできる物質

▶︎糖質
トレハロースは、糖の中ででん粉老化抑制効果が大きいことが知られています。

10℃、16時間保存後の状態した、もちの様子は以下である。
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(引用:林原:トレハロース 澱粉老化抑制

▶︎乳化剤
乳化剤はデンプンを構成するアミロースやアミロペクチンと複合体を作り、再結晶化(老化)を防止します。

03_img01
(引用:太陽化学:【第5回】乳化剤の使用方法

▶︎タンパク質
不凍タンパク質とよばれるタンパク質は、氷結晶の成長を妨げるため 澱粉が傷つくのを防ぎます。

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(引用:カネカ:不凍タンパク質

▶︎増粘剤
増粘剤を添加することで、離水を抑え 老化を防止する作用があります。
スクリーンショット 2015-11-18 23.31.24
参考:タマリンドガム:DSP五協

参考
食品開発の進め方

加工食品の賞味期限で満たすべき3つの品質

加工食品で賞味期限を設定する3つの根拠

賞味期限を設定した期間内は、メーカーは3つの品質を消費者に約束する必要があります。
その3つの約束とは、

「成分が劣化しない!(理化学項目)」

「菌が繁殖しない!(微生物項目)」

「食べて美味しい(官能項目)」

です。

商品設計に関わる人は企画の良さ、体感性といった部分に目を向けがちですが、「賞味期限が長い程、流通業者にとっては在庫リスクが少なくなる」といった点も商品性において非常に重要な項目です。

賞味期限の定義は、加工食品品質表示基準で決まっています。
どんな風に定められているか、賞味期限の定義を抜粋してみます。

定められた方法により保存した場合において、期待されるすべての品質の保持が十分に可能であると認められる期限を示す年月日をいう。ただし、当該期限を超えた場合であっても、これらの品質が保持されていることがあるものとする。

具体的に実務に落とし込んだ場合だと以下の様に解釈できます。

「定められた方法により保存した場合」とは、製品が流通する条件をさします。
例えばペットボトルの飲料であれば、ペットボトルに入った条件 かつ 保存条件を満たした状態で 賞味期限を設定するための安定性試験を計画する必要があります。

また、賞味期限内に期待されるすべての品質が保持する必要が有ります。
品質とは、「理化学試験」「微生物試験」「官能試験」が主な評価項目です。
これら3つの品質を確認するために行う試験を見てみましょう。

①理化学試験

理化学試験
理化学的な項目とは、分析機器を使用して測定する項目です。
品質の劣化の原因になる物質や栄養素を計測することで、食品の劣化を調べます。

食品で分析することの多い項目を列挙すると
ビタミン,水分,水分活性,pH,酸価(AV),過酸化物価(POV),チオバルビツール酸価(TBA価),揮発性塩基窒素(VBN),酸度,糖度,ヒスタミン,硬さ等の物性 等
があります。

どの項目を分析するかは、食品に配合されている原料や剤型に依存します。
油脂が多く含まれる食品は、過酸化物価(POV)を測定しますし、錠剤であれば 硬度の測定を行います。

②微生物試験

微生物試験
食品が微生物の培地となり、異臭がしたり酸味が発生する状態です。
健康食品だと、水分値が低かったり 殺菌工程を挟む 製品が多く問題にすることが少ないでしょう。
多くは、「一般生菌」及び「大腸菌(群)」を考慮するのが多いです。

一番みじかな微生物が問題になる例だと、スーパーのお惣菜があります。
常温で一週間も放置すると、異臭がしますよね。
それは、微生物がタンパク質を分解してアンモニア・メタンなどを生成したからです。

賞味期限を設定する場合は、微生物の増殖を抑える事を考慮しないといけません。
新規性の高い原料を配合する場合や、新規性の高い製法にチャレンジする場合にハードルになることが多いです。

③官能試験

官能試験
食品に異常がないかどうかは、人が実際に食べて評価を行います。
食品は人が摂取するものであるため、人が評価することで正確な判断が行えます。

官能試験は、食品の外観・色・香り・味などを評価します。
多くは社内数名で、数値(0〜10)で評価します。
(0:変化なし 5:変化あるが許容内 10:賞味期限外 というふうに数値で評価します。)

12ヶ月の賞味期限設定をする場合、3,6,9,12,15,18ヶ月くらいで評価を行い劣化具合を数値で評価する事で劣化の傾向を評価します。
また、賞味期限の劣化は温度に依存するため、40度・50度など高温の加速試験を行い 短期間で賞味期限を行うことが多いです。

参考
賞味期限等設定のための試験

食品開発の進め方