健康食品開発のための油脂の劣化《原理と対策》

健康食品開発のための油脂の劣化《原理と対策》

脂肪分は、食品の風味を高めてくれる重要な要素です。
健康食品では、油脂の多い原料は高カロリーになってしまうため 避けられがちだったものの ローフードや木の実に含まれる脂肪酸などの健康素材に注目が集まり利用される機会も増えました。

今後、健康食品の嗜好性の高まりや、脂肪酸を多く含む原料を扱う際に注意したい、油脂の酸化を学びましょう。

油脂の劣化とは?

油の劣化とは、
①脂肪酸に酸素が結合する、酸化
→臭いの悪変

②トリアシルグリセロールが分解していくこと,あるいは,重合していくこと
→物性の変化(粘度の変化等)

を指します。
特に食品で問題になるのは、油脂の酸化です。
人間の鼻は最も 感度の高い器官ですので、臭いの劣化の目安が賞味期限設定の目安になることが多いです。

油脂の自動酸化

二重結合を2個以上持つ不飽和脂肪酸は空気中の酸素と反応して ゆっくり酸化していきます。
つまり、不飽和度の高い脂肪酸ほど、酸化のスピードが速くなります。

下記は、脂肪酸の割合を油ごとに記したものです。
二重結合の多い脂肪酸を多く含む、大豆油は劣化が大きいです。
一方、オリーブ油は酸化に対して安定的である。
faq_01_1_img02b
(引用元:関西食文化研究会

そのため、長期保存を前提とする製品では使用するのは好ましくありません。
劣化を防ぐために、酸化防止剤としてビタミンEを配合することが多いです。

酸化促進因子

油脂の酸化を要因に、①重金属、②光、③酵素 の存在が反応を促進することが知られています。

▶︎重金属
食品に含まれる、鉄・銅が問題になることが多いです。
健康食品だと、鉄を栄養強化目的で配合することが多いので注意が必要です。
また、製造装置からの混入も考えられます。

▶︎光
光がクロロフィルやリボフラビンなどの色素に吸収され、そのエネルギーが酸化反応を促進することが知られています。
また、紫外線なども原因になりますので、アルミ等透過性の低い包材を使用することが大切です。

▶︎酵素
リポキシゲナーゼは、油脂の酸化を促進します。
例としては、大豆の豆臭はリポキシゲナーゼ反応により生じるヘキサナール、ヘキセナールの香りです。

健康食品で使用される 油脂の特徴

健康食品で使用することの多く、油脂の多い素材を見てみよう。

ナッツ類などの木の実系

almonde-150x150
(引用:日本スーパーフード協会 
ナッツ類にはアーモンド・ゴマ・ピーナッツはもちろん、スーパーフードとして注目されることが多くなったインカインチ・ココナッツ・ヘンプなども含まれます。
ゴマ・アーモンドなどにはビタミンEが多く含まれるので、ビタミンEが酸化防止剤として働き劣化しにくいことが知られています。

オリーブオイルなどの香りを楽しむ油

亜麻仁油(フラックスシード油)
(引用:日本スーパーフード協会 
健康食品で注目されていている、α-リノレン酸などは酸化しやすいので注意が必要である。
健康食品では、複数の油をブレンドしたり 栄養強化することも考えられるので 酸化防止剤を配合するのは必須です。

乳由来の原料

ミルク
乳に含まれる、不飽和脂肪酸が問題になることがあります。
脱脂粉乳や香料を使用することで 擬似的に似せることも選択肢の一つです。

大豆由来の原料

大豆
大豆は、不飽和脂肪酸を多く配合する原料です。
安価なタンパク源として、健康食品での利用も多いです。
そのため、風味の劣化の一因として 油脂の劣化があることを認識しておくことが大切です。

対策まとめ

酸化防止剤として、ビタミンEを配合することが一般的です。

参考
フードトラップ 食品に仕掛けられた至福の罠

油脂の劣化について