香料の基本:匂いの化学物質

香料の基本:匂いの化学物質

バナナ香料、グレープフルーツ香料、果ては焼き鳥香料まで香料会社のラインナップは非常に広く、あらゆる加工食品に配合されています。

高田香料ホームページから製品開発のストーリーを一部抜粋しましょう。
あらゆる食品で、香料が使用されているのが見て取れます。

コンビニエンスストアに行くと、お弁当、インスタント食品、スナック菓子、ついつい注文してしまう、出来立てのフライドチキンやおでんなど・・・。これらの数多くの食品にシーズニングが使われています。
シーズニングは、塩や旨味などの基本調味料、香料、色素他、様々な素材からなっており、その組み合わせは無限大。創造性に富んだシーズニング開発者がこれらの組み合わせでシーズニングを作ると、炭火で焼いた様に感じる焼鳥風味や発泡感のあるサイダー味なども出来たりします。

それでは、匂いの分子を見ることで 使用する香料のイメージを高めましょう。

香料の分類

香料にはどんな種類があるのか?を理解するには、以下の分類が役にたちます。
あらゆる加工食品において、香料が使用されている事が理解できます。
加工食品は、香料が使用できるようになり飛躍的に進歩しました。
レモン味のゼリーを香料なしで作ろうと思うと、レモン果汁を煮詰めてつくる事になります。
そうなると、季節により味が変わったり 中期保存に向かないゼリーを作る事になります。

一方、香料が使用できる場合は、水に着色料・甘味料・極微量のレモンエキス(原材料表示のため)・香料を煮詰めるだけで作成できます。
工業的に作成する事で、ロット間のばらつきが無く・長期保存に向く製品を作成できるようになります。

シトラス系 オレンジ、レモン、ライム、グレープフルーツなど柑橘類のフレーバー 清涼飲料、ドリンク剤、冷菓、スポーツ飲料、キャンディーなど
フルーツ系 アップル、バナナ、グレープ、ピーチなどシトラス系以外のフルーツのフレーバー 清涼飲料、ドリンク剤、ビスケット、冷菓、キャンディー、ジャムなど
ミルク系 ミルク、クリーム、バターなど乳製品のフレーバー 冷菓、ビスケット、マーガリンなど
嗜好飲料系 コーヒー、ココア、紅茶、ウーロン茶など嗜好飲料のフレーバー 缶コーヒー、ラクトコーヒー、缶入り紅茶、ウーロン茶など
バニラ系 バニラのフレーバー アイスクリーム、ビスケット、チョコレート、キャンディーなど
ミント系 ペパーミント、スペアミントなどハッカのフレーバー チューインガム、キャンディー、歯みがき、洋酒など
スパイス系 胡椒、シナモン、ジンジャー、ナツメグ、クローブなどスパイスのフレーバー ハム、ソーセージ、タバコ、コーラ、 ジンジャエール、キャンディーなど
ナッツ系 アーモンド、ピーナッツなどナッツ類のフレーバー ビスケット、チョコレート、キャンディーなど
畜肉、水産系 ビーフ、ポーク、チキンなど肉類、カニ、エビなど水産物のフレーバー ハンバーグ、カマボコ、インスタント食品、レトルト食品、ペットフードなど
調味系 スープ、ソース、醤油、松茸、椎茸などのフレーバー インスタント食品、レトルト食品など
酒類系 リキュール、カクテルなどのフレーバー 菓子類、清涼飲料、アイスクリームなど

具体的に、みじかな香りの分子をみていきましょう。

▶︎バナナ
酢酸アミル
nアセルアセテートは、バナナの香りとして利用されます。

▶︎レモン
リモネン
d-リモネンは、レモンの香りとして利用されます。

フルーツなどは数百種類もの成分が匂いに影響するため、10種類程度の成分からなる香料で本物にいかに近づけるかというのは非常に技術のいり、各社ノウハウがあります。
また、香料を強くすると単純に味がエンハンスするわけでなく、香りの質が変わる性質があるので味作りの難しさでもあります。

参考
日本香料工業会

風味=味+香り:味覚を感じるメカニズム

風味=味+香り:味覚を感じるメカニズム

食品の基本味は、甘味、塩味、酸味、苦味、旨味から構成され、これは舌にある味蕾によって認識される味です。
その他にも人間が味として認識するものとして、口腔内の皮膚感覚である(辛味、渋み)、口から鼻で認識する「香り」があります。
また、最近の研究では、脂肪酸や一部の金属などの化学物質を認識する受容体も示唆されています。

味作りの上では、これらを組み合わせることで「おいしい」味を作ることが大切です。
特に、加工食品を作る上で大切なのは、「砂糖脂肪分塩分」を上手く使うことだと言われています。
なぜなら、砂糖はエネルギーに変えやすく脂肪分は摂取カロリーの効率がよい塩分は体内の血圧を調整するのに必要で人間に必須 ということで、人間の脳が生きていくために必要だと強く認識しているため 「おいしい」と感じさせやすくしているのでしょう。

だがしかし、健康食品だとこの3つの要素は嫌われるものですので これを使わずにおいしいと思わせるのが腕の見せ所でもあります。

それでは、基本味などについて 一つ一つ見ていきましょう。

甘味

砂糖甘味を砂糖以外にも、糖アルコール(マルチトール等)、甘味料(アスパルテーム、ステビア)など様々なものが利用できます。
特に甘味料はカロリーが無いため(微量はあるものの、0kcal扱いできる)ため、健康食品だと利用されることが多いです。
甘味料の種類によって、甘さの感じ方が異なるため いくつかの人工甘味料を組み合わせることで自然な甘味を感じることができます。
例えば、サントリー ペプシスペシャル

では、甘味料(アスパルテーム・L-フェニルアラニン化合物、アセスルファムカリウム)の組み合わせで使用しています。
味の素の資料(味の素:アセスルファムK)によると、この組み合わせの良さが甘味曲線で理解できます。
アセスルファムK
砂糖の甘味の感じ方と非常に近いとわかります。ちなみに、PAL SWEET DIET=アスパルテーム・L-フェニルアラニン化合物です。

味作りにおいて、甘味は酸味や苦味をマスキングするとともに他の風味を高める効果があります。
そのため、ほとんどの加工商品には甘味が使用されます。
一方、甘味への要求度は年齢とともに変化し、年をとるほど甘味が好きでなくなることが知られています。
また、性別にも差があります。

塩味

塩
塩味を感じる素材には、塩(塩化ナトリウム)を使用することがほとんどです。
一方、食塩の代替品として「ホエイソルト」「塩化ナトリウム」などが健康食品だと使用されることもあります。

味作りにおいては、苦味を選択的に取り除いてくれ、他の風味をたたせてくれます。
食塩と甘味のバランスを、ボディ感と表現したりします。
例えば、スイカに塩をかけると甘く感じる(ボディが増す)のがその代表です。

酸味

レモン酸味は、舌のphメーター的な役割によって認識できます。
そのため、phの低いクエン酸は強く酸味を感じますし、ph7の水は何も感じません。
酸味をつける素材には、クエン酸・りんご酸・アスコルビン酸・乳酸等があります。

使用する酸味料に、強さが異なります。
酸味曲線
(引用:バイオベースマテリアルの新展開

酸味は、食品の腐敗を示す目安であるため(腐った食べ物は酸っぱいことを思い出そう!)これをメインに味作りをすることは少ないです。
一方、レモン味を作るときに レモン末を使っていては原価が合わない!といったとき 香料と酸味料でレモンの味を作ることはよくあります。
つまり、香り・甘味などのバランスをとるために使います。

苦味

time to toast
time to toast

苦味は、学習することで好きになる味です(ビールの味など)。
苦味の成分としては、ポリフェノール類、カフェイン、窒素を含む有機物が挙げられる。

食べ物で苦味を楽しむものは少ないものの、飲み物には多数あります。
具体的には、ビール・ブラックコーヒー・緑茶などです。

苦味をマスキングするには、甘味や塩味を足すことが多いです。
また、苦味成分を物理的にマスキングできる シクロデキストリンを使うことがあります。
花王のヘルシア 緑茶では、カテキンの渋みをシクロデキストリンを使用することでマスキングしています。

旨味

しいたけ旨味とは、アミノ酸の一部及びヌクレオチドを指します。
単体では味はあまりしないですが、他の味を強める作用があります。
アミノ酸であるグルタミン酸と核酸系うま味物質(イノシン酸やグアニル酸)を組み合わせることで、うま味が飛躍的に強くなることが知られています。

健康食品では、旨味と相性に良い剤型が少ないので使用することが少ないかもしれません。

香り

香料風味は、味と香りの組み合わせでできています。
香りは、人間の鼻で10000種類以上を識別できると言われているくらい 多様性のある部分です。
加工食品では、香料で香りづけを行い 味に占める割合は非常に多いです。

香料を扱う上で頭に入れておきたい性質は、以下の性質です。
ハーブやスパイスは、いくつかの化合物から味が構成するため香料を使うと上手に表現できるのですが、フルーツなどは数百種類もの成分が匂いに影響するため、10種類程度の成分からなる香料では偽物っぽく感じてしまいます

辛味

スパイス唐辛子の味は、痛みが皮膚感覚として伝わるもので味ではないものの、人に美味しさを感じさせる大切な要素です。

ショウガのジンゲロールは、辛味と清涼感。
カプサイシンは、ヒリヒリする辛さ
わさびは、つーんとするからさ

など、辛味の成分により感じ方が異なります。

清涼感

清涼感ペパーミントに含まれる、メントールは冷たさと同じ神経回路を刺激します。
また、ソルビトールは水に溶解する際に吸熱反応を起こし、口の中でひんやりとした感触がすることから タブレットや飴に使用されます。

直接打錠を目的とした成形性の高い錠剤を作成するコツ

直接打錠を目的とした成形性の高い錠剤を作成するコツ

サプリメント錠剤を製造する場合、一番安価な直接打錠法が前提となります。
直接打錠とは、粉体をVコンなどで混ぜた後 打錠機で成形します。

湿式打錠では粉体を造粒するので粒は均一ですが、混合を行っただけの粉体は粒は不均一です。
成形性の高い錠剤_粉のイメージ
(図:成形する粉体のイメージ)
湿式打錠で選択される造粒された錠剤は、結合剤を表面にコーティングするため結合性も高い。
それに加え、粉体の大きさも均一に近く 打錠障害も起こりにくい。

一方、混合だけの錠剤は粒の大きさもバラバラであり 結合剤なども 混合時間の調整を間違えると 不均一になります。
直接打錠を行うには、結合性・流動性が備わっていないと 打錠機で成形出来ません。
そのため、結合性を補うために セルロースを入れたり 流動性を補うために 二酸化珪素を配合します。
今回は、結合性に焦点を当て 成形性の高い錠剤を作るポイントを整理します。

成形性の高い錠剤の特徴

成形性が高いとは、出来るだけ少ない圧力で錠剤を作成できるものと定義します。
高い圧力をかけると、杵の寿命や機械の寿命を減らすだけですので 成形性が高いことは重要なことです。

①有効成分を減らす

錠剤に配合される、有効成分が多すぎる場合 成形性が低いことが多いです。

ウコン
(画像引用:ウコンの”力”はがんにも効果―米研究
有効成分の例として、ウコンをみてみましょう。
ウコン類における錠剤成形の技術開発という沖縄県工業技術センター研究報告書によると、ウコン素材そのものの顆粒成形に関する結合性能が弱いことから HPC・コラーゲンなどで造粒した後に打錠することでサプリメントなどの利用を想定しています。

サプリメントで使用される有効成分の多くは、結合力に乏しいので 減らすことで成形性が高くなります。

②結合剤の量を増やす

結合剤は、粉同士の決着力を上昇させたり硬度を高めてくれる素材です。
原料としては、セルロースを使用するのが一般的です。

セルロースの特徴は2種類に分けられます。
①繊維状で、硬度が高いもの(stシリーズなど)
②丸みを帯びており、流動性に優れるもの(ufシリーズなど)
スクリーンショット 2015-11-21 23.35.34
(引用:旭化成ケミカルズ:セオラス

なぜ、繊維状のものが成形性に優れるかというと、空隙率が高くなるや粉体同士の結合作用からだと考えられます。
セルロース変化
表面がなめらかなものよりも、セルロースが入っている方が粉体同士が絡みやすい上、空隙率が上がることで変形しやすい粉体に変化します。

参考
医薬品製剤化方略と新技術 (ファインケミカルシリーズ)

健康食品開発のための油脂の劣化《原理と対策》

健康食品開発のための油脂の劣化《原理と対策》

脂肪分は、食品の風味を高めてくれる重要な要素です。
健康食品では、油脂の多い原料は高カロリーになってしまうため 避けられがちだったものの ローフードや木の実に含まれる脂肪酸などの健康素材に注目が集まり利用される機会も増えました。

今後、健康食品の嗜好性の高まりや、脂肪酸を多く含む原料を扱う際に注意したい、油脂の酸化を学びましょう。

油脂の劣化とは?

油の劣化とは、
①脂肪酸に酸素が結合する、酸化
→臭いの悪変

②トリアシルグリセロールが分解していくこと,あるいは,重合していくこと
→物性の変化(粘度の変化等)

を指します。
特に食品で問題になるのは、油脂の酸化です。
人間の鼻は最も 感度の高い器官ですので、臭いの劣化の目安が賞味期限設定の目安になることが多いです。

油脂の自動酸化

二重結合を2個以上持つ不飽和脂肪酸は空気中の酸素と反応して ゆっくり酸化していきます。
つまり、不飽和度の高い脂肪酸ほど、酸化のスピードが速くなります。

下記は、脂肪酸の割合を油ごとに記したものです。
二重結合の多い脂肪酸を多く含む、大豆油は劣化が大きいです。
一方、オリーブ油は酸化に対して安定的である。
faq_01_1_img02b
(引用元:関西食文化研究会

そのため、長期保存を前提とする製品では使用するのは好ましくありません。
劣化を防ぐために、酸化防止剤としてビタミンEを配合することが多いです。

酸化促進因子

油脂の酸化を要因に、①重金属、②光、③酵素 の存在が反応を促進することが知られています。

▶︎重金属
食品に含まれる、鉄・銅が問題になることが多いです。
健康食品だと、鉄を栄養強化目的で配合することが多いので注意が必要です。
また、製造装置からの混入も考えられます。

▶︎光
光がクロロフィルやリボフラビンなどの色素に吸収され、そのエネルギーが酸化反応を促進することが知られています。
また、紫外線なども原因になりますので、アルミ等透過性の低い包材を使用することが大切です。

▶︎酵素
リポキシゲナーゼは、油脂の酸化を促進します。
例としては、大豆の豆臭はリポキシゲナーゼ反応により生じるヘキサナール、ヘキセナールの香りです。

健康食品で使用される 油脂の特徴

健康食品で使用することの多く、油脂の多い素材を見てみよう。

ナッツ類などの木の実系

almonde-150x150
(引用:日本スーパーフード協会 
ナッツ類にはアーモンド・ゴマ・ピーナッツはもちろん、スーパーフードとして注目されることが多くなったインカインチ・ココナッツ・ヘンプなども含まれます。
ゴマ・アーモンドなどにはビタミンEが多く含まれるので、ビタミンEが酸化防止剤として働き劣化しにくいことが知られています。

オリーブオイルなどの香りを楽しむ油

亜麻仁油(フラックスシード油)
(引用:日本スーパーフード協会 
健康食品で注目されていている、α-リノレン酸などは酸化しやすいので注意が必要である。
健康食品では、複数の油をブレンドしたり 栄養強化することも考えられるので 酸化防止剤を配合するのは必須です。

乳由来の原料

ミルク
乳に含まれる、不飽和脂肪酸が問題になることがあります。
脱脂粉乳や香料を使用することで 擬似的に似せることも選択肢の一つです。

大豆由来の原料

大豆
大豆は、不飽和脂肪酸を多く配合する原料です。
安価なタンパク源として、健康食品での利用も多いです。
そのため、風味の劣化の一因として 油脂の劣化があることを認識しておくことが大切です。

対策まとめ

酸化防止剤として、ビタミンEを配合することが一般的です。

参考
フードトラップ 食品に仕掛けられた至福の罠

油脂の劣化について

健康食品開発のためのでんぷんの老化《原理と対策》

食品の劣化:でんぷんの老化

健康食品だと、でんぷんをメインに使用した商品は少なく問題になることは少ないです。
しかし、食品を扱う上では非常に重要な現象なので、理解しておきましょう。
私たちの身の回りにある、「澱粉の老化」は ご飯の保存にあります。
炊いたご飯を保存するには、冷蔵ではなく冷凍します。
その理由は、米の老化は2〜4度でもっとも進みやすいです。
一方、-20℃付近まで冷やすと一気に冷やすと老化しにくくなるので、レンジで解凍しても美味しくたべれますね。

でんぷんの老化が問題となる商品は、

①冷凍食品
ビュッフェパンケーキ(38g×8枚)×5組 冷凍

→冷凍麺などは、でんぷんの塊。
冷凍のパンケーキなどもでんぷんの老化が気になる製品です。

②中華のたれやホワイトソース
ハインツ ホワイトソース290g×4缶
→とろみは、小麦粉などでつけられる。

上記の加工食品では、でんぷんに処理を加えた 加工澱粉を使用したり、糖類・乳化剤を添加することで老化を抑えている。
具体的に、澱粉の老化の原因と対策を見ていきましょう。

澱粉の老化 とは?

でんぷんの老化
(引用元:なぜ麺はのびるとまずいのか?~即席麺の作り方と「マルちゃん正麺」がおいしい理由~
澱粉の老化とは 食感がぼそぼそとする感じです。
現象で見てみると、次のようになります。
①澱粉は水を加えて加熱すると、ある温度以上で水を吸収して膨張する(アルファ化)
②低温で保管することで、徐々に澱粉分子同士がくっつき、水が排出されます(老化)

澱粉の隙間にあった、水がなくなることで弾力がなくなり 乾燥状態に近づきます。

要素別に見る、澱粉の老化

澱粉の性質を踏まえて、商品設計をしたい。

pH

pH 5~7で老化速度が速いことが知られている。
弱酸性の方が、水素結合を形成しやすくなり、澱粉分子同士が結合するからである、
(参考:澱 粉 と シ ョ糖 脂 肪 酸 エ ス テ ル の 相 互 作 用 に 関 す る 研 究

温度

澱粉の老化は2〜4度でもっとも進みやすい。
冷蔵保管で保管する製品を設計する上では、澱粉の老化は非常に厄介である。

温度による、劣化を避けるために 急速冷凍という技術があります。
冷凍麺は、30分以内に、中心温度を-1-5度未満にしています。

水分

水分が多いほど、澱粉の老化がしやすいことが知られています。
水分10〜15%以下の低水分食品(ビスケット等)は 水分が自由に動ける状態でないので、老化が進行しにくいです。

薬を飲むのに使用される、オブラートなども 水分が低いので澱粉の老化を防いだ技術の一つです。

澱粉の種類:アミロースとアミロペクチン

seni
(引用元:和菓子技術者になるための必須知識)
でんぷんはブドウ糖がつながってできた炭水化物です。つながり方により、1直線につながったアミロースと、枝分かれ したアミロペクチンの2種類に分けられます。
アミロースは1直線なので、水を離しやすいので老化しやすいです。

アミロース含有量の低い澱粉を選択することで、老化を防ぎやすくなります。

老化を防ぐことのできる物質

▶︎糖質
トレハロースは、糖の中ででん粉老化抑制効果が大きいことが知られています。

10℃、16時間保存後の状態した、もちの様子は以下である。
img02
(引用:林原:トレハロース 澱粉老化抑制

▶︎乳化剤
乳化剤はデンプンを構成するアミロースやアミロペクチンと複合体を作り、再結晶化(老化)を防止します。

03_img01
(引用:太陽化学:【第5回】乳化剤の使用方法

▶︎タンパク質
不凍タンパク質とよばれるタンパク質は、氷結晶の成長を妨げるため 澱粉が傷つくのを防ぎます。

about_img02
(引用:カネカ:不凍タンパク質

▶︎増粘剤
増粘剤を添加することで、離水を抑え 老化を防止する作用があります。
スクリーンショット 2015-11-18 23.31.24
参考:タマリンドガム:DSP五協

参考
食品開発の進め方

糖衣コーティングとフィルムコーティングの特徴

糖衣コーティングとフィルムコーティング

錠剤のコーティングには、2種類あります。
それは、糖衣コーティングとフィルムコーティングです。
それぞれの特徴を見ていきましょう。
具体的な商品や、液剤の調合などについてはフロイント株式会社:医薬品添加剤に詳しい。

初心者向けに、コーティングの特徴と どんなものを使うかに焦点を絞ります。

コーティングを行うメリット

コーティングを行うメリットは、苦味のマスキング作用があります。
サプリメントだと、カフェインなどの苦味料を配合したり、植物系のエキスが多い錠剤の場合 素錠だと渋みを感じます。
一方、コーティングした錠剤だと 舌に増えるのはコーティング層です。
コーティング剤は、渋みがないので 飲みやすくなります。

また、色味の悪い、変化しやすい原料を配合している場合は 糖衣コートを選択します。
白色で覆うため、見た目も綺麗になります。
また、表面がツルツルするので、喉に引っかからないので飲みやすさも増します。

▶︎フィルムコーティングをした有名な製品
FANCL カロリミット 約90回/3袋/360粒
ファンケルのカロリミットがあります。
原材料に含まれる、緑茶エキス(成分はカテキン)に苦味があります。
それをマスキングするために、シェラックが行われています。

▶︎糖衣コーティングをした有名な製品
【第2類医薬品】正露丸糖衣(キョクトウ) 84錠
正露丸は、匂い・味に苦味があります。
糖衣コートをすることで、匂い・味を感じません。

効き目のありそうな味ではあるものの、糖衣してある方が飲みやすいですね。

糖衣コーティングとは?

糖衣コート
錠剤に、ショ糖や糖アルコール(マルチトールなど)をコーティングしたものです。
糖類以外にも、酸化チタンなどが使われることがあります。

糖衣コートをするには、糖衣を乗せやすくするために 錠剤に防水を目的として フィルムコーティングを行う。
フィルムコーティングには、後述のセラックなどを使用する。
その後、ゼラチン・アラビアゴムなどを混ぜたシロップを噴霧し、糖衣コートを行います。

コーティングの行程が2回あるので、工賃が高くなります。

フィルムコーティングとは?

フィルムコーティング
錠剤に、イーストラップ・シェラック・HPMC(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)などを噴霧します。
糖衣コートよりも、安価にコーティングできるのがメリットです。

▶︎イーストラップ
coating_img05
(引用:三生医薬株式会社:コーティング錠剤)
イーストラップとは、酵母細胞壁の原料です。
錠剤に色味がつくのが特徴です。

▶︎シェラック
coating_img02
(引用:三生医薬株式会社:コーティング錠剤)
シェラックとは、カイガラムシの分泌液を精製したものです。
透明〜少し黄色が特徴です。
ネイルにも使いことがあるので、知名度は高いかもしれません。

▶︎ツェイン
coating_img03
(引用:三生医薬株式会社:コーティング錠剤)
トウモロコシから抽出した非水溶性のタンパク質です。
透明が特徴です

▶︎HPMC(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)
coating_img04
(引用:三生医薬株式会社:コーティング錠剤)
HPMC(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)とは、水溶性のセルロースです。
セルロースは、植物の細胞壁です。
水溶性のため、コーティング後の崩壊性への影響が少ないものの、透湿度が高く 吸湿しやすいのがデメリット。

滑沢剤の特徴と効果

滑沢剤の特徴と効果

滑沢剤とは?

打錠を圧縮する際、杵の表面に付着するのを防いだり、流動性を良くすることで臼への充填適正を上げてくれるため打錠品には必ず配合を行います。

滑沢剤の効果

滑沢剤の効果は、以下の3つが有名です。

効果①:粉体の流動性を高め、臼への充填適正を上げます

効果②:粉体と臼杵との摩擦を低減させ、圧縮性・放出性を高める

効果③:杵先、臼壁との付着を防止し、錠剤に光沢を与える。

滑沢剤は、多すぎても少なすぎても効果を発揮できません。
滑沢剤が多すぎると、粉体の結合力が低下し打錠障害に繋がることが知られています。

滑沢剤の種類と特徴

健康食品では、ステアリン酸カルシウムを使うことが一般的です。
脂肪酸系の滑沢剤は、少量で効果を発揮するのが特徴です。

天然系滑沢剤

タルク

タルク
(引用:タルクって何?悪いものなの?
タルクとは、滑石という鉱石を微粉砕したものです。
タルク=悪いものというイメージからか、使用されることはありません。

硬化油、ミツロウ

ミツロウ
(引用: 蜜蝋について
硬化ナタネ油、ミツロウなども、滑沢剤の効果があります。
融点が低いのがネックだが、食品添加物不使用の錠剤を作る際に選択肢に入る。

脂肪酸系

ステアリン酸カルシウム

錠剤を設計する際、ステアリン酸カルシウムを使うのが一般的である。
医薬品では、ステアリン酸マグネシウムを使うことが多い。

参考
医薬品製剤化方略と新技術 (ファインケミカルシリーズ)

打錠中に硬度が変化する原因

打錠中に硬度が変化する理由

工場で打錠機にて生産していると、問題になるのが打錠中の品質の変化です。
打錠開始時に硬度を設定して打錠を行っても、打錠終盤には規格が逸脱することもあります。
そのため、ロット間で品質を一定にするために 時間経過ごとでサンプリングを行わなければいけません。

打錠中に硬度が上昇する場合、および硬度が低下する場合の原因を見てみます。

硬度が上昇する場合

打錠中に硬度が上昇していく理由は、

①杵と錠剤との摩擦により 杵が熱を持ち膨張している。
②ホッパーから粉体の供給量が多くなり、重量が増え硬度が上昇する

が考えられます。

硬度が低下する場合

打錠中に硬度が低下していく理由は、

①フィードシュー(充填装置)内で、滑沢剤が過剰混合状態になっている
②ホッパーから粉体の供給量が少なくなり、重量が減り硬度が低下する

が考えられます。

参考
製剤の達人による製剤技術の伝承 上巻 経口投与製剤の製剤設計と製造法

打錠障害キャッピング・ラミネーションの原因と対策

打錠障害キャッピング・ラミネーションの防止方法

キャッピング・ラミネーションとは?

キャッピング
(図:キャッピング)
キャッピングとは、錠剤の上下が剥がれる現象です。
ラミネーションとは、錠剤の中間部が層状に剥離する現象です。
どちらも、錠剤の表面が剥離してしまう現象です。
錠剤に打圧が均一にかからず歪みが起こるため、一部が剥がれたり層状に剥離しがおきます。

基本的に起こる原因は、錠剤が空気を抱え込んだ状態で打錠されており、十分に脱気されていないことが原因です。

キャッピング・ラミネーションの問題点

キャッピング・ラミネーションを起こしたは、外観不良のクレームに繋がります。
検品で、該当する錠剤を省いたとしても 後工程でのコーティング、充填、輸送時での衝撃で簡単に割れかねないので、キャッピング・ラミネーションを防ぐ処方設計をする必要があります。

キャッピング・ラミネーションの防止策

防止するには、破壊応力に耐えられるまで錠剤の硬度を出しやすいように変更必要があります。
キャッピング・ラミネーションを起こしやすい処方は、硬度が出にくい傾向にあります。

硬度を高めるために行えることは以下のことです。
①打圧を弱める
→打圧を抑えることで、臼壁と錠剤との間に発生する応力を抑えることで 粉体全体に均一に打圧がかかりやすくなります。
臼壁と錠剤の摩擦が減り、応力破断面が形成しにくくなります。

②回転数を落とす。
→回転数を落とすことで、圧力をかける時間が長くなり 粉体に均一に力を加えることができます。
また、予圧の段階で脱気を十分することにつながります。

参考
製剤の達人による製剤技術の伝承 上巻 経口投与製剤の製剤設計と製造法

打錠障害と主な原因

打錠障害と主な原因

打錠障害をまとめると、以下のようになります。
詳細についてみていきましょう。
打錠障害

錠剤の圧縮時のイメージ

錠剤の圧縮
打錠時のイメージは上記の図です。
錠剤の変化は次の2点

①圧縮時に錠剤内部に応力・密度に分布が発生
→内部構造が均一でないことから、打錠障害を起こす要因になる。

②逃げ場を失った空気が閉じ込められる
→粉体の間に空気が入ることで、結合力が低下し打錠障害を起こす要因になる

キャッピング

キャッピング
キャッピングとは、錠剤の上下が剥がれる現象です。

ラミネーション

ラミネーション
錠剤の中間部が層状に剥離する現象です。

キャッピング、ラミネーションともに 原因が同じ打錠障害です。
顆粒側の原因は、
・滑沢剤過剰
・滑沢剤混合不足
・粉体の結合力不足
・顆粒の水分不足

打錠機の原因は、
・打錠速度が速い
・打圧過剰

になります。
対策については、もう少し詳細に打錠障害キャッピング・ラミネーションの防止方法にまとめました。

硬度計で硬度を測定する際、普段と違う方向に割れてしまう時などは キャッピング、ラミネーションを疑います。
錠剤に打圧が均一にかからず歪みが起こるため、一部が剥がれたり層状に剥離しがおきます

バインディング

バインディング
バインディングは、臼壁での摩擦で錠剤側面に傷が入る現象です。

スティッキング

スティッキング
杵に錠剤が付着し、錠剤の一部が割れる現象です。

バインディング・スティッキングともに、原因は同じ打錠障害です。

顆粒側の原因は
・滑沢剤不足
・粉体の微粉が多い
・顆粒の乾燥不足

打錠機側の原因は
・打圧不足
・杵先、臼壁の汚れ、傷

になります。
臼と杵との間で摩擦により、粉体の融解が発生し、溶けたものが杵に付着します。
その状態で打錠を行うため、錠剤に傷や凹みが発生します。

参考
図解 製剤学 (みてわかる薬学)

第93回薬剤師国家試験(平成20年3月)
※打錠障害の図を引用

製造方法を工夫してスケールアップを行うアプローチ:直接打錠法・乾式顆粒圧縮法・湿式顆粒圧縮法

錠剤の製造方法と特徴

錠剤の製法は、粉体の特性に合わせる必要があります。

錠剤の製法は、配合素材を工夫してスケールアップを行うアプローチと 製造方法を工夫してスケールアップを行うアプローチ方法があります。
配合素材を工夫してスケールアップを行うアプローチについては、錠剤設計初心者は配合素材の目的を知ることから始めようで紹介しました。

今回は、製造方法を工夫して 工場でサプリメントを大量生産する方法を学びましょう

まずは、錠剤を生産するための打錠機についてから始めます。
打錠機は、ロータリー式成型機が一般的です。
setsubi_ph04
(引用:第一薬品産業:工場設備
ロータリー式成型機の原理は、ホッパーから粉が打錠機の回転盤に供給され 回転盤にはたくさんの臼と杵(上下にセットされている)がくっついています。
それを圧縮することで、錠剤が得られます。

展開図は以下のとおりで、回転盤に複数の金型(上杵・下杵・臼)をセットし、これが1回転する間に ①粉末の充填 ②圧縮成型 ③製品の取り出しという一連の作業を連続的に行うものです。
ロータリー型
(引用元:菊水製作所.ロータリー式成型機

錠剤を成形するには、硬度重量の管理が大切です。

硬度の調整は、打錠圧をコンピューターで制御して行います。
打圧をかける場所は2箇所あり、予圧ロールと本圧ロールです。

予圧ロールでは、軽く力をかけ成形を空気抜きを目的としています。
空気抜きを抜くことで、キャッピングなどの打錠障害を起こしにくくします。

本圧ロールでは、強く力をかけ錠剤が規定の硬度に収まるように成形します。

重量の調整は、下杵の距離を調整することで行います。
粉体の充填部分には、オープンフィードシューといった粉の動きを補助する機械がついています。

錠剤を成形する方法はわかりました。
ようやく、本題である「直接打錠法」・「乾式顆粒圧縮法」・「湿式顆粒圧縮法」に移ります。
錠剤を成形する一般的な方法は、「直接打錠法」です。
これは、混合した粉をそのまま錠剤にする方法です。

一方で、この方法だと成形性が悪い場合があります。
そういった場合、「乾式顆粒圧縮法」と「湿式顆粒圧縮法」いった 粉体に加工を行い 成形性を底上するというアプローチがあります。

1.直接打錠法

直接打錠法は、有効成分に添加物を加えて 混合したものを圧縮成型するものです。
工数が少なくて済むことから、安価に製造できることが特徴です。
サプリメントではもっぱら、直接打錠が選択されます。

圧縮性の高い賦形剤や粉体の粉流れを良くするために滑沢剤などを添加することで、安定的に打錠することができます。

▶︎製造フロー
Image441
(引用元:特許庁:標準技術集(農薬製剤技術)データベース:造粒、成形技術

2.乾式顆粒圧縮法

乾式顆粒打錠法はローラー圧縮法等で添加剤と有効成分を混ぜて均一な顆粒を作り、得られた顆粒を打錠する方法です。
粉体が吸湿性であったり、水や熱に不安定であったり、流動性が低く密度が小さいなどの場合に選択肢になります。
コストがかかるので、サプリメントで使用されることはほとんどありません。

▶︎ローラー圧縮法
フロー(バインダー添加・造粒)
(引用元:クリモト:MRCPローラコンパクタ(乾式圧縮造粒機)
粉末をローラー圧縮により板状に成型し、これを粉砕することで顆粒が得られます。

▶︎製造フロー
Image440
(引用元:特許庁:標準技術集(農薬製剤技術)データベース:造粒、成形技術

3.湿式顆粒圧縮法

造粒顆粒を用いることによりホッパーから臼への供給が確実になり、キャッピング等の打錠障害のリスクが減ります。
また、有効成分が均一になることから 成分の偏りが大幅に減ります。
医薬品ではもっともポピュラーな打錠法です。

粉体の造粒方法は、主に3種類(押し出し造粒、流動層造粒、攪拌造粒)です。

▶︎押し出し造粒
スクリーンショット 2015-11-16 1.23.32
(引用元:株式会社大川原製作所:スクリュー型押出造粒機
結合剤などの粉体に液を加え混練し、スクリュー、ローラーなどで圧力をかけ押し出します。
円柱状の大きな顆粒が作れることが特徴です。
一方、工数が多くかかりコストが高くなりやすいです。

▶︎流動層造粒
Image430
(引用元:特許庁:標準技術集(農薬製剤技術)データベース:造粒、成形技術
粉体に液と熱風を交互にかけ、粒同士が架橋構造をつくることで造粒を行います。
1つの装置で、造粒と乾燥ができることから 安価に作れるメリットがあります。

▶︎攪拌造粒
dns_tech_6
(引用:DNS:造粒の方法
攪拌羽根と剪断羽根を同時に回転させた状態で、液を噴霧し造粒を行います。
仕込み量が少ないので生産効率と生産コストがネック。

▶︎製造フロー
Image439

参考
特許庁:標準技術集(農薬製剤技術)データベース:造粒、成形技術

図解 製剤学 (みてわかる薬学)

サプリメント錠剤設計における賦形剤選択まとめ

サプリメント錠剤設計における賦形剤まとめ

賦形剤とは、機能性成分の量が少ない場合に1粒あたりの配合量を調整するために配合します。
具体例を交えて、賦形剤の必要性を見てみよう。
例えば、カフェイン100mgを1日服用する錠剤を考えよう。
カフェインは苦いので、粉で飲むよりも錠剤で飲むのが適切です。

有効量を設定した後は、工場で大量生産する必要があります。
その際、問題となるのは杵のサイズ、及び打錠適正です。

設計での問題1:杵のサイズ(重量)の問題

杵
100mgを打てる大きさの杵がない場合は、他のサイズ(例えば300mg打てる8φなど)を検討しないといけません。
そうなると、賦形剤を混ぜ 増量する他ありません。

設計での問題2:打錠適正の問題

responsibility__product_supply__process_04
カフェイン100%で打錠できれば良いですが、普通は 結着剤・滑沢剤などを配合することで錠剤への適性をあげる必要があります。
スケールアップする際に、滑沢剤の量を微調整できるように配合に余裕がある必要があります。
その際、役に立つのが賦形剤です。
滑沢剤を0.5%増やして、賦形剤を0.5%減らせば 錠剤の重量を変えることなく配合検討が可能です。
また、賦形剤自体にも 粉体の結合力をあげる能力があるので 錠剤の適正をあげるのに役にたちます。

サプリメントに使用する賦形剤の特徴を見ていこう

健康食品だと、還元麦芽糖水飴・でんぷん・麦芽糖 が使用されることが多い
理由は、この3種類は安価な上、吸湿性も低く安定性が高い原料だからである。
噛んで食べるチュアブルタイプだと、清涼感を求めてソルビトールを選択するときもある。

配合する原料との相性から賦形剤は選択されるので、他にもたくさん種類がある事は頭に入れておいて欲しい。

麦芽糖

スクリーンショット 2015-11-11 21.40.42
(参考:林原:サンマルトの物性と打適
麦芽糖は、比較的吸湿しにくいため、錠剤の賦形剤として使用される事が多いです。
麦芽糖の製法により、錠剤適性が変わります。

結晶化後に粉砕して製造する麦芽糖は、直打に優れます(写真1:サンマルトミドリ)
微粉で表面がゴツゴツしているため、粉同士の決着力が良いのが特徴です。

一方、スプレードライで製造される麦芽糖は、粉体の流動性が良く、錠剤の崩壊性が良いという特徴を持つ(写真2:サンマルト-S)

還元麦芽糖

麦芽糖は1gあたり約4kcalで二糖類に分類されるのに対して、還元麦芽糖は、1gあたり約2kcalで糖アルコールに分類されます。
糖アルコールであることから、アミノ酸などと反応せず 安定性に優れるのが特徴です。
甘味度は砂糖の70〜80%のため、甘さが十分あり 噛んで食べるタイプの錠剤と相性が良い。

澱粉

スクリーンショット 2015-11-11 22.02.42
(参考:FREUND:パーフィラー®102
でんぷんは、高い流動性を持ち 硬度も十分出るので直打用の賦形剤として適当です。
硬度と崩壊のバランスがよく、崩壊性が懸念の処方に使用することが多いです。

ソルビトール

url
ソルビトールは、チュアブルタイプの錠剤に使用されることが多いです。
最大の特徴は、水に溶解する際に吸熱反応を起こし、口の中でひんやりとした感触があることです(清涼剤)。

そのため、ミント系のタブレット(フリスク、ミンティア)では必ず使用されます。

乳糖

乳糖不耐症(乳糖を分解できず、消化不良や下痢などの症状を呈する)イメージから、サプリメントで利用されることは少ない。
医薬品では使用されることも多く、いろんな型番があるのが特徴。
例えば、粒度分布が規格化し 混合性や流動性を高めた製品が発売されている。

医薬品レベルに品質の高いサプリメントを設計するため時に使います。

錠剤設計初心者は配合素材の目的を知ることから始めよう

錠剤設計のための基本となる知識

スクリーンショット 2015-11-09 22.21.30
錠剤(タブレットタイプ)の案件を初めて担当した人は、錠剤に配合する原料がどういった用途で配合しているかを理解することが大切です。
錠剤に配合する原料の目的を知ることで、硬度が出ない・原料の苦味をマスキングする といった問題の対処がしやすくなるのです。
例えば、生薬エキスをたくさん配合したタブレットはとても渋いですが、コーティング剤を追加(表面をコーティング)すれば渋さを感じなくなります。

錠剤を作るには、上記①〜⑦の原料の組み合わせで作られます。
各要素を意識して設計することで、錠剤設計の基本を学びましょう。

①機能性素材・有効成分は、錠剤のコンセプト!

20013005149
錠剤のメリットは、1粒あたりで有効量を管理しやすい点です。
タブレットを設計する際、一番最初に考えるのは有効成分をどんな素材を配合するか? どれくらいの量を入れるかが大切です。

そのため、1粒あたりの有効成分の量は100mgなど キリの良い数字が好まれます。
配合量を増やすことで少ない錠剤の数を飲めばよくなるので、消費者のメリットにもつながります。

しかし、錠剤の製造性に悪影響を与えるような機能性成分の配合量が多くなればなるほど、タブレットを成形する素材が減りますので難易度が上がるうえ、エキス類を配合すると吸湿で錠剤に斑点が発生したり といった品質の劣化に招く要因にもなります。
量産化の難易度と、消費者のベネフィットを天秤にかけながら、常に処方設計しましょう。

②賦形剤は、カサ増し+結着力を高めてくれます

砂糖
賦形剤はいわゆる増量剤みたいなもので、その他の成分を増減するときに削ったり増やしたりします。
成形性が高いこと、安価であることが条件に選ぶことが多いです。

賦形剤は、生理活性のない「麦芽糖」「マルチトール」「還元麦芽糖」などの糖類が使用されることが多いです。
その他にも、「澱粉」なども使用されます。

③結合剤は、錠剤を固めます

キャッピング
(図は、キャッピングの様子)
結合剤は、粉同士の決着力を上昇させたり硬度を高めてくれる素材です。
原料としては、セルロース(植物の細胞壁の主成分)を使用するのが一般的です。
植物の茎がぴんと張ってのは、セルロースのおかげと言えます。
錠剤も結合剤がなければ脆くボロボロと崩れてしまうのですが、結合剤を配合することでカッチリと固めてくれます。

結合剤が不足しているとキャッピング(錠剤が帽子状に剥離する現象)やラミネーティング(錠剤が層状に剥離する現象)といった不自然な錠剤の割れ方がみられます。

④滑沢剤は、錠剤表面に付着して摩擦を減らす効果

滑沢剤_原理
滑沢剤とは、錠剤表面に付着することで 摩擦を減らす効果があります。
滑沢剤の作用=油のツルツル テカテカのイメージが良いと思っています。
床に油が溢れていたら、摩擦がほとんどないので転けてしまいますね。
滑沢剤(成分は脂肪酸などの油)も、粉体にくっついて ツルツル の物質に変化させます。

もう少し専門用語を使うと、粉体同士の摩擦を減らすため、粉の動きをなめらかにし臼穴に均一に粉が供給されやすくなる(流動性改善)ことを改善したり、錠剤が圧縮される際 粉体と杵との摩擦が減ることで 杵と錠剤との付着を防ぐ(スティッキングの防止)作用があります。
臼穴に粉が均一に供給されず 重量がばらつくといった流動性に紐づくトラブルは試作スケールでの検討では 問題なることが少なく、工場での大きなスケールで 長時間生産を行うことで問題が発覚することが多い現象です。

試作スケールで滑沢剤が必要なさそうな錠剤でも、滑沢剤を添加しておくことはトラブルへの保険として大切です。
原料としては、ステアリン酸カルシウム、硬化油などの脂肪酸を使用します。

⑤粉体同士の摩擦を減らし、流動性を高める素材

臼
(画像引用元:NANNO:商品カタログより
流動性を高める素材には、二酸化珪素、微結晶セルロースがあります。
流動性を高める=粉同士の摩擦を減らしてくれるということです。
二酸化珪素(成分はシリカ)が流動性を改善してくれるイメージは以下の感じです
流動性改善_二酸化珪素
他の原料に付着し、接触面積が減るので摩擦が減ります。

微結晶セルロースが流動性を高めてくれる理由は、丸い形があります。
微結晶セルロースは、粉末セルロースよりも 丸型であり体積も大きいです。
他の素材と比較し、接触面積が小さく 粉体同士の摩擦が減ります。

臼穴への粉末の流れを良くすることで、錠剤の重量ブレが減り均一の品質の錠剤設計が可能です。

⑥崩壊剤とは、錠剤を水で膨潤しやすくします

崩壊剤
(画像引用元:スーパー崩壊剤の品質の特徴
崩壊剤は水を吸うと膨らみ、錠剤を壊れやすくするために配合します
基本的な打錠ではまず使用しません。
OD錠(口の中で溶ける錠剤)などを設計する際に配合します。
原料としては、でんぷん、アラビアガム糊などが使用されます。

OD錠をもっと知りたい人は、覚えておきたい! 有名な錠剤の形と特徴もどうぞ。

⑦コーティング剤は、錠剤表面を皮膜する!

coat_img01
(画像引用:株式会社パウレック:コーティングとは
コーティングのメリットには、苦味を抑えたり、吸湿を抑える、腸溶性を付加する機能付加があります。

コーティング原料としては、HPMC,セラック,糖衣コートなどが健康食品では使用します。
コストがかかるため、検討は①〜⑥が終わってからが多いです。

覚えておきたい! 有名な錠剤の形と特徴

錠剤の形と特徴

錠剤と言えば、丸い形をしていてそのまま飲めるように出来るのが特徴です。
丸錠はそのまま飲めるので、苦い成分が入っていても 嫌な思いをせずに済むメリットがあります。

しかし錠剤でも、そのまま飲む 以外の使用方法もあるんです!
様々な用途で使用される錠剤の有名な形と用途を見てみましょう。

素錠(裸錠)

hemolingual_a
表面は何も加工していない、ただ打錠しただけの錠剤です。
サプリメントだともっとも一般的な形ですね。

そのまま飲む以外にも、噛んで食べるタイプの錠剤もあります。
健康食品だと、口臭予防のサプリメントだと噛んで食べるタイプが多いです。

粉末だと口に入れると咽せてしまいますが、錠剤タイプだと美味しく食べることができます。

カラテ錠

candesartan_pic_02
(参考:カラテ錠
カラテ錠は、簡単に半分に割る錠剤です。
薬の飲む量を調整することができるのがメリットです。

風邪薬などでは、体の大きい大人は1回2錠、体の小さい子供は1回1錠となっていまので量が調整しやすいですね。
それよりも、1錠をそのまま飲んだり、半分に折ったりすることで服用量を調整できるのがカラテ錠のメリットです。

サプリメントで使用することがまずありません。

口腔内崩壊錠(OD錠)

od
(参考:花粉症の処方薬 クラリチンのまとめ
水なしで服用できる錠剤で、口に含むと溶けます。
技術的に難しい点も多く、サプリメントだとほとんど見かけません。
OD錠のメリットは、シーンを選ばずに飲むことが出来ます。
下痢止めのストッパは、電車内など 水を飲むことが出来ない状況でも飲むことができるようにOD錠で設計されています。
top_ex

有核錠

index_img_01
(参考:エックスフォージ配合OD錠の製剤技術)
錠剤の中に、錠剤が入っているのが有核錠です。
内核に有効成分が入っており、有効成分の溶出時間を調整することができます。
有効成分が溶け出すのが遅いということは、胃ではなく腸などで溶ける錠剤の開発も可能である 他者と機能面で差別化した商品が作れます(例えば、生きて腸まで届く等)

層錠

url
(参考:クラシエフーズ ネオ
2つの層からなる錠剤です。
医薬品では、2つの異なる成分を同時に摂取することができ、錠剤の数を減らせるのが特徴です。
サプリメントではないですが、フリスクNeoでも採用されている技術です。

フリスクNeoはミントタブレットの中では、高価格帯の商品であり他の商品と差別化を図るために層錠を採用しています。

まとめ

サプリメントだと、コストの面からも素錠を使うことがほとんどです。
素錠をコーティングした錠剤はたくさん見かけますね。

錠剤の基本設計で大切な硬度と崩壊時間

錠剤の基本設計で大切な硬度と崩壊時間

錠剤設計において、硬度崩壊時間さえ気をつけておけばとりあえず 製品になる といっても過言ではありません。
錠剤は 形にするために硬度が求められるのはもちろん、有効成分が体内で吸収されやすいように 崩壊時間 にも気を配る必要があるんです。

硬度とは?

hemolingual_a
錠剤の硬度は固すぎても、柔らか過ぎても 製品として問題があります。
柔らかすぎる場合は、錠剤をボトルにつめ 店頭に並ぶまでに壊れてしまうでしょう。
一方、固すぎる場合は後述する「崩壊性」に影響を与えます。
胃の中でも溶けず、有効成分の溶出が遅くなってしまい吸収率が悪くなります。

硬度の測定方法は指の間に錠剤を挟んで割るのが錠剤の硬さを知る方法として、昔は行われていましたが現在の主流は「硬度計」を使用します。

▶硬度計
硬度計
(情報元:錠剤硬度計:フロイント産業
硬度計は錠剤の直系方向に力を加えていき、錠剤が耐えられなくなり破壊される際にかかる力を測定します。
硬度計を使うことで、錠剤に関して下記の式が成り立ちます。

スクリーンショット 2015-11-05 22.34.47

引っ張り強度σは粒子間結合力を評価する値です。
錠剤を形成している粒子間の結合力(σ)が同じでも、錠剤の大きさが異なると測定される硬度の値が異なることがわかります。
例えば、処方組みを同じで重量を増やすために、8φを9φに変更する場合を考えましょう。
簡単のために、錠厚も一定とします。
その際は、硬度は9/8倍に大きくなりますので、硬度の心配はなさそうです。
実務では、以下の形で頭に入っていると 硬度障害が出た場合に対応しやすいです。

スクリーンショット 2015-11-05 22.47.05
硬度障害が出た場合は、

D(錠剤の直径)を増やす(8φ→9φに)
T(錠剤の厚み)を増やす(賦形剤を変更する、重量をあげる)
σ(粒子間結合)を増やす(造粒打錠で結合力をあげる)

などの対処が必要です。

動いている様子はこちら

崩壊時間

images
錠剤は、体内でどれ位の時間が経ったら吸収されるかの目安です。
硬度とは異なり、崩壊時間は日本薬局方に規定された60分以内という目安があります。
サプリメントは食品ですので、崩壊時間を気にせず製造するメーカーもあります。
しかし、製薬会社が作るサプリメントだと規格を満たすことが多いです。

崩壊時間をなぜ考慮するかというと、配合した有効成分がきちんと溶出されるかの目安になるからです。
医薬品を設計することを背景にした規格ですが、錠剤を作る上では大切なパラメーターと言えます。

崩壊時間と錠剤設計でなりたつ式は、下記があります。

スクリーンショット 2015-11-08 23.15.14
崩壊時間と錠剤の厚みに比例関係があることがわかりますね。
錠剤設計する上で、崩壊時間が長くなるときは 錠剤の厚みを削る必要があります。
錠剤の厚みを減らすために、賦形剤・重量を減らす等の対処方法があります。

崩壊時間を測定する機械は下記のような機械で崩壊時間を測定します。
ma256_1
(参考:錠剤崩壊度試験機

参考
製剤の達人による製剤技術の伝承 上巻 経口投与製剤の製剤設計と製造法

加工食品の賞味期限で満たすべき3つの品質

加工食品で賞味期限を設定する3つの根拠

賞味期限を設定した期間内は、メーカーは3つの品質を消費者に約束する必要があります。
その3つの約束とは、

「成分が劣化しない!(理化学項目)」

「菌が繁殖しない!(微生物項目)」

「食べて美味しい(官能項目)」

です。

商品設計に関わる人は企画の良さ、体感性といった部分に目を向けがちですが、「賞味期限が長い程、流通業者にとっては在庫リスクが少なくなる」といった点も商品性において非常に重要な項目です。

賞味期限の定義は、加工食品品質表示基準で決まっています。
どんな風に定められているか、賞味期限の定義を抜粋してみます。

定められた方法により保存した場合において、期待されるすべての品質の保持が十分に可能であると認められる期限を示す年月日をいう。ただし、当該期限を超えた場合であっても、これらの品質が保持されていることがあるものとする。

具体的に実務に落とし込んだ場合だと以下の様に解釈できます。

「定められた方法により保存した場合」とは、製品が流通する条件をさします。
例えばペットボトルの飲料であれば、ペットボトルに入った条件 かつ 保存条件を満たした状態で 賞味期限を設定するための安定性試験を計画する必要があります。

また、賞味期限内に期待されるすべての品質が保持する必要が有ります。
品質とは、「理化学試験」「微生物試験」「官能試験」が主な評価項目です。
これら3つの品質を確認するために行う試験を見てみましょう。

①理化学試験

理化学試験
理化学的な項目とは、分析機器を使用して測定する項目です。
品質の劣化の原因になる物質や栄養素を計測することで、食品の劣化を調べます。

食品で分析することの多い項目を列挙すると
ビタミン,水分,水分活性,pH,酸価(AV),過酸化物価(POV),チオバルビツール酸価(TBA価),揮発性塩基窒素(VBN),酸度,糖度,ヒスタミン,硬さ等の物性 等
があります。

どの項目を分析するかは、食品に配合されている原料や剤型に依存します。
油脂が多く含まれる食品は、過酸化物価(POV)を測定しますし、錠剤であれば 硬度の測定を行います。

②微生物試験

微生物試験
食品が微生物の培地となり、異臭がしたり酸味が発生する状態です。
健康食品だと、水分値が低かったり 殺菌工程を挟む 製品が多く問題にすることが少ないでしょう。
多くは、「一般生菌」及び「大腸菌(群)」を考慮するのが多いです。

一番みじかな微生物が問題になる例だと、スーパーのお惣菜があります。
常温で一週間も放置すると、異臭がしますよね。
それは、微生物がタンパク質を分解してアンモニア・メタンなどを生成したからです。

賞味期限を設定する場合は、微生物の増殖を抑える事を考慮しないといけません。
新規性の高い原料を配合する場合や、新規性の高い製法にチャレンジする場合にハードルになることが多いです。

③官能試験

官能試験
食品に異常がないかどうかは、人が実際に食べて評価を行います。
食品は人が摂取するものであるため、人が評価することで正確な判断が行えます。

官能試験は、食品の外観・色・香り・味などを評価します。
多くは社内数名で、数値(0〜10)で評価します。
(0:変化なし 5:変化あるが許容内 10:賞味期限外 というふうに数値で評価します。)

12ヶ月の賞味期限設定をする場合、3,6,9,12,15,18ヶ月くらいで評価を行い劣化具合を数値で評価する事で劣化の傾向を評価します。
また、賞味期限の劣化は温度に依存するため、40度・50度など高温の加速試験を行い 短期間で賞味期限を行うことが多いです。

参考
賞味期限等設定のための試験

食品開発の進め方