水分による食感の変化:吸湿と乾燥

水分による食感の変化:吸湿と乾燥

乾燥食品(顆粒タイプのサプリメント,シリアル,煎餅など)において問題になりやすいのが、吸湿による 食感の変化です。

日本は多湿の環境ですので、吸湿による劣化を考慮した商品設計を行わなければなりません。

食品の吸湿の状態を理解するには、水分等温吸着線を見るのが大切です。
あらゆる食品の吸湿は、下記のS字カーブを描くことが知られています。

スクリーンショット 2015-12-06 20.02.52
(改変:山口大学工学部:食品乾燥における塩の添加の乾燥速度と乾燥表面の評価
縦軸:吸湿速度
横軸:水分活性(Aw)
(水分活性については、微生物と水分活性:結合水と自由水を参考ください)
で食品の吸湿状況を表しています。
十分乾燥を行った結合水のみの場合は、吸湿は非常にゆっくり進みます。
一方、水分活性が高くなると 吸湿速度が加速的に早くなるという特徴があります。

そのため、吸湿を防ぐには最初に水分量を低くすることが大切になってきます。

また、吸湿速度は温度が高くなればなるほど、早くなることも知られています。
スクリーンショット 2015-12-06 23.38.56
(引用:山口大学工学部:食品乾燥における塩の添加の乾燥速度と乾燥表面の評価

水分活性が高くなると、劣化が早くなる

吸湿をし水分活性が高くなると、粉体がべとべとになったり塊になってしまうので 食品の風味が損なわれます。
それ以外にも、水分活性Awが高くなると 微生物の繁殖・吸湿による酸化・褐変反応の促進など様々なデメリットがあります。

吸湿の防止方法

吸湿の防止には、包装で外気と遮断することが通常です。
吸湿しやすい原料を含む場合は、乾燥剤を入れることも多いです。

微生物と水分活性:結合水と自由水

微生物と水分活性:結合水と自由水

水分活性は微生物の増殖に影響を与えるため、水分活性を抑えることが大切です。
また、微生物の繁殖以外にも水分を抑えることで、様々な反応を抑えることができるので安定性の向上にもつながります。

水分活性を理解するためには、結合水と自由水について理解することが必要です。

結合水と自由水と水分活性

食品中の水分は、「結合水」と「自由水」に分けられます。

▶︎結合水
食品を構成する物質(糖質・タンパク質 等)と結合しており 自由に動き回ることができません。
そのため、微生物は結合水を利用することができません。

▶︎自由水
結合水以外の、束縛されていない水です。
微生物が利用できる水分です。
微生物の増殖を考える際は、自由水の量を基準に考えます。

▶︎水分活性
水分活性とは、全ての水分の中で自由水がどれくらい存在するかの目安です。
算出方法は以下の式になります。

水分活性_自由水
水分活性は低ければ低いほどよい。
しかし、水分活性を下げると 食品の品質(味・テクスチャー等)が変化するため難しいところです。
水分活性を下げるために、砂糖を糖アルコールなどに置き換えることが考えられます。
目安として、各種微生物が生息する最低水分活性を見てみよう。

微生物 最低水分活性
細菌 0.91
酵母 0.88
カビ 0.8

自由水と結合水のイメージ図

▶︎食品と水分の結合のイメージ図
食品に含まれる、たんぱく質(アミノ基(NH2)やカルボニル基(-COOH))や糖質(-OH基)と水素結合することで、食品の表面に留まります。
これを結合水と呼びます。
結合水_自由水_食品表面

▶︎結合水と自由水のイメージ
次に、食品表面よりも外側に目を向けましょう。
食品との表面にいるのは、結合水です。
水素結合は非常に強力なので、非常に安定した状態と言えます。

その上には、準結合水と呼ばれる層があります。
自由水と比較すると、自由度が低く蒸発しにくい性質を持っています。

そのさらに上の層は、食品表面の影響を受けない層になっています。
これを自由水と呼びます。
結合水_自由水_水分子

まとめ

水分が多いドリンクなどは、無菌充填を採用することで 菌類は入らないようにしています。
菌が入ること前提の商品では、水分活性を減らすことが大切です。

今回は、菌の増殖には 自由水分が必要であること。
自由水分を減らすことが、菌の増殖を抑制することを理解してもらえればと思います。

参考
食品開発の進め方