機能性成分放出制御技術の基本原理

似たようなサプリメントが市場に溢れ、機能性成分の含有量で勝負という時代から商品のコンセプトや製剤技術で勝負するサプリメントが増えてきました。
製剤技術では、錠剤・カプセル剤のような剤型で放出抑制技術を取り込んだ商品が数多く発売されています。

機能性成分の放出抑制技術の原理について見てみましょう。
医薬系ではたくさんの技術がありますが、サプリメントで使えそうな安価に利用できる技術に絞りました。

放出速度の制御

①コーティング型(膜透過制御)

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コーティング型は、水不溶性の放出制御膜を訴状の表面にコーティングを施したものです。
メリットとしては、消化管内の中でも安定的に成分を放出が期待できるという利点があります。
耐酸性皮膜を使用すれば、腸溶性を付加できますし、粘性の高い物質を噴霧せればゆっくり溶け出す製品を開発することができます。

サプリメントでは、森下仁丹の技術であるシームレスカプセルが有名です。
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(画像引用元:森下仁丹:シームレスカプセル応用例
皮膜を調整することで、口腔内崩壊〜腸溶性を付加することができます。

②口腔内崩壊錠(OD錠)

口腔内崩壊錠は、水なしで服用できる錠剤で、口に含むと溶けます。
口腔内で30秒以内に溶け崩れるのが特徴です。
技術的に難しい点も多く、サプリメントだとほとんど見かけません。

エリスリトール顆粒と結晶セルロース、崩壊剤などのすぐに溶ける物質を組み合わせて作ることができます。
例えば、ダイセルから速崩壊性賦形剤「SWELWiCK(スウェルウィック)」という原料が最近発売されました。
これから多くの商品が上梓されるかもしれません。

③分散性・添加剤による崩壊性向上

崩壊時間を短縮することで、体内の吸収率upを訴求することができるので多くのサプリメントに利用されています。
錠剤であれば、崩壊剤を添加する。カプセルであれば分散性を向上するなどが挙げられます。

例えば、DHCから発売されている速攻ブルーベリーという商品は分散性向上による崩壊時間の短縮を行った商品です。
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消化管のターゲティング

①胃ターゲティング

HPCやHPMCなどが水には溶けにくいが、胃酸性化で溶けやすいという特徴から胃溶性コーティング剤として使用されることがあるがほとんどサプリメントでは見かけません。

②腸ターゲティング

サプリメントでは、腸ターゲティングとした商品が数多く重視されている。
原理としては、胃のpHでは溶解せずに腸のpH5~8で溶解するコーティング剤を使用する。
また、大腸内にある腸内最近の代謝を利用したガラクトマンナン・キトサン・アミラースなどの酵素分解を受ける天然高分子を使用した腸溶性カプセルなども発売されています。

一例を挙げると、中日本カプセルのIS-Capsule(アイエスカプセル)は非常に面白い技術です。
膜にペクチンを配合することで、胃液(pH1.2)ではペクチンがゲル化し溶出を遅くし、腸液(pH約7)ではペクチンが溶解するpH応答性を持たせています。
(参考:IS-Capsule(アイエスカプセル))

高甘味度甘味料の特徴まとめ

高甘味度甘味料は、健康食品には無くてはならない素材です。
シニア層のメタボ対策・生活習慣病対策や、女性のダイエット系商材として、シュガーレス・低カロリーの健康食品の需要が増えています。
高甘味度甘味料は、砂糖の数百倍〜数万倍の甘さを持つことから少量を添加するだけで砂糖の代わりになってくれます。

甘味料それぞれに特徴があり、甘味曲線という形で甘味料の効果のイメージ図が原料メーカーが公開していることが多いです。
商品を使うときは、甘味曲線を見ながら検討することでより効率の良い検討ができます(同じ甘味料でも型番が違えば、効果感が違うことが多いです)。
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(画像引用元:三菱食品:エリスリトールと高甘味度甘味料の併用による応用技術

アスパルテーム

アスパルテームは、ショ糖の200倍の甘さを持つのを特徴とする甘味料です。
苦みが少なく砂糖に似た甘味をもち、後味がすっきりしているのが特徴です。
飲料・菓子に使用されることが多いです。

アスパルテームは、味の素が主なサプライヤーです。
アセスルファムKと組み合わせをすることで砂糖に違い風味になることから、飲料では同時に採用されることが多いです。
アスパルテームの特徴は、下記に詳しい
▶︎ 「PAL SWEET DIET ®」 (アスパルテーム)の製品説明

アドバンテーム

アドバンテームは、2014年6月に厚生労働省の食品添加物認可を取得した比較的新しい甘味料です。
砂糖の3万倍の甘味度が特徴であり、甘味が伸びるためポリフェノール・ビタミン・ミネラルなどの苦みをマスキングするのに適しています。
アドバンテーム単体では使用されることは少ないものの、アドバンテームとアスパルテームを組み合わせた使いやすい製剤が販売されています。

アセスルファムK

アセスルファムKは、甘味料の中では甘さの発言が早いことが特徴で、スクロース(ショ糖)の200倍の甘味があります。
一方で使用制限の関係上、粉末商品では配合量を増やせないことから、飲料で使用されることが多いです。

単体では使用されることは少なく、スクラロースと同時併用することが多いです。
コカコーラ0、糖質0の発泡酒などに配合された商品を見かけることが多いです。

スクラロース

スクラロースの甘味度は砂糖の600倍であり、砂糖に極めて近いまろやかな甘味をもちます。
耐熱性・長期保存に優れることから、健康食品〜菓子パンまで幅広く使用される甘味度甘味料です。
スクラロースは、機能性素材の風味向上やマスキングに使用できることから健康食品においても使用頻度が非常に高いです。

スクラロースの主なサプライヤーは、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社です。
スクラロースについては、下記のサイトにまとまっています。
▶︎クローズアップ製品 > スクラロース

ステビア

ステビアは、天然由来の甘味料です。
世界的にナチュラル志向の高まりから、合成甘味料を忌避される傾向があることからステビアの需要が伸びています。
天然甘味料には、ステビア以外にも羅漢果などもありますが、ステビアの方が甘味の幅が広いことから使用しやすいのが特徴です。

ステビアの弱点としては、独特の清涼感と後味が気になる点が挙げられます。
ステビアの特徴については、下記にまとめました。
▶︎天然系甘味料の特徴まとめ

ネオテーム

砂糖の7000〜13000倍の甘味度が特徴です。
ネオテームにはビタミン、ミネラル、カテキン、大豆タンパク、ペプチド、コラーゲン等にある好まれない後味を軽減するマスキング効果を目的に健康食品では使用することが多いです。

ネオテームは、DSP五協フード&ケミカルから発売されているミラスィーブランドが有名です。
ミラスィーの製品情報が下記で閲覧できます。
▶︎ミラスィー:DSP五協フード&ケミカル

食品に含まれるエネルギーの算出方法

最も一般的な熱量の算出方法は、たんぱく質、脂質、炭水化物をエネルギーの換算式を利用したものが一般的です。
しかし、アルコールを配合した商品や食物繊維を多く配合した商品などは、これらの成分を定量し補正式を用いることでより正確な熱量を算出することができます。
食品で使用されることの多い、エネルギーの補正式は以下の式を使用します。
▶︎栄養成分の補正式
栄養成分の補正式

計算式の一例を挙げると以下のようになります。
成分補正なし①:エネルギー=たんぱく質×4+脂質×9+炭水化物×4

食物繊維補正②:エネルギー=たんぱく質×4+脂質×9+(炭水化物-食物繊維)×4+食物繊維×2

個別の栄養素はどうやって求めるの?

各々の栄養素を求めるには、食品メーカー自身で分析 or 分析機関に依頼する or 5訂などの公的なデータベースを使用するのが一般的です。

栄養成分の分析は非常に複雑なため、專門の分析機関に依頼することが多いです。

天然系甘味料の特徴まとめ

天然甘味料の特徴まとめ

健康食品で利用が多いのが、ステビアや羅漢果などの天然甘味料です。
人工甘味料=体に悪いというイメージので、植物由来の天然甘味料を利用することも多いでしょう。
消費者のイメージが良いという以外にも、以下の利用目的もあります。

・砂糖などの糖類を添加する配合の余裕がない(高たんぱく含有の商品等)
・ゼロカロリー
・品質の劣化を防ぐため(糖類はアミノ酸とメイラード反応する)
・ダイエット系の商材(カロリーが低いのが好まれる)
等があります。

天然甘味料は、人工甘味料と比較すると味のキレが悪く扱うのにコツが入ります。
天然甘味料として利用される、ステビア・羅漢果の特徴を見てみましょう。

使いやすさNo.1 ステビア

ステビア
天然甘味料で最も使用されることが多いのが、ステビアです。
最近では、甘み素材にステビアを使ったコカコーラも販売されています。
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ステビアが良い点は、熱に安定・褐変(長期保存において食品が変色する現象)しにくい等はもちろんですが、様々な甘味曲線を持つ商品が販売されていることです。
前に甘みがあるステビアを使えば、砂糖の代替に使えますし、後ろに甘みがあるステビアを使えば、マスキングに使用できます。

様々な甘味曲線を持つステビアを販売している守田化学工業のHPから、ステビアの商品の甘味曲線を引用します。
甘みの発現時間が遅いものから、早いものまであります。
甘みの発現時間と、苦味が発生する場所を被せることで苦味のマスキングすることができます。
様々な甘味曲線の商品があるので、色んな苦味をマスキングすることができます。
健康食品では、苦味の強いポリフェノールを配合することも多いのでステビアは非常によく使用します。
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(画像引用元:守田化学工業:レバウディオA9シリーズ
ステビアに色んな甘味曲線がある理由は、抽出する場所により甘さが違うからです。
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マスキングに便利な ラカンカ

羅漢果
天然甘味料の羅漢果は、果実から抽出されます。
スーパーマーケットでも羅漢果を配合した、天然甘味料も販売されています。
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羅漢果は、ステビアと比較すると使用されることは少ないです。
理由は、甘さの強度が弱いのでステビアと比較するとたくさん使用しないといけないです。
また、価格も高いのでメインの甘味料にはなりません。
一方で、ステビアと併用することで砂糖に近い風味も出すことができます。
ステビアには独特の清涼感があるのですが、羅漢果を配合することで消すという使い方もできます。

食品の栄養素の基本:タンパク質・脂質・炭水化物・ナトリウム

食品の栄養素の基本:炭水化物・タンパク質・脂質・ナトリウム

加工食品がどんな栄養素から成り立っているかを消費者に知らせるために利用されるのが「栄養成分表示」です。
栄養成分表示
(引用:東京都福祉保健局
表示項目の基本は、「エネルギー・タンパク質・脂質・炭水化物・ナトリウム」となっています。
この5つは、栄養成分表示を行う場合は必須の項目であり、食品を構成する主成分といえるでしょう。
それぞれ、1つずつの特徴を見ていきましょう。

エネルギー

エネルギーの算出方法は、たんぱく質を4kcal/g、脂質9kcal/g、炭水化物4kcal/gとして算出されます。
しかし、これらの数値は体内代謝や消化吸収率の平均値を考慮したものであり,食品によって微妙に異なるのが現実です。
具体的には、炭水化物である寒天は0kcaLであったり、糖アルコールのマルチトールは2kcaLであったりします。

健康食品は、ダイエット目的で利用する人も多く少しでも低いほうが望ましいことが多いです。
そのため、各原料の消化率を考慮した商品設計が健康食品では求められます。
個別の係数については、日本食品分析センターの資料がわかりやすくお勧めできます→ 食品成分のエネルギー換算係数
0kcaL扱い出来る、エリスリトール・ポリデキストロース・サイリウム種皮などは様々な健康食品に利用されますね。

タンパク質

たんぱく質は、20 種類のアミノ酸がペプチド結合してできた化合物と定義されています。
私たちの肌・筋肉を作る物質であることから、健康食品と相性の良い栄養素です。
特に、プロテインサプリメントはタンパク質やアミノ酸の含有率が非常に高い製品です。
最近は、ホエイプロテイン(乳由来のタンパク質)が主流になっており 水への溶解性もよく 風味が良いのが特徴です。

アミノ酸には体内で合成できず 食事から摂取する必要のあるアミノ酸を、必須アミノ酸とよびます。
必須アミノ酸は、トリプトファン、メチオニン、リジン、フェニルアラニン、ロイシン、イソロイシン、バリン、スレオニンの8種
これらをバランスよく配合したサプリメントも非常に人気があります。

脂質

脂質は1gあたり9kcalと栄養素の中で最もカロリーが高いので、嫌われる傾向があります。
体内での役割は、体内ホルモンの元になったり、脂溶性ビタミン(ビタミンA・D・E・Kなど)を身体中に運ぶ役割があります。

体内で他の脂肪酸から合成できないために摂取する必要がある必須脂肪酸は健康食品にも利用されています。
代表的な必須脂肪酸は、ω-6脂肪酸(リノール酸、γ-リノレン酸、アラキドン酸)・ω-3脂肪酸(α-リノレン酸・EPA・DHA)です。
これらを配合したサプリメントは非常に多く、不足しがちな栄養素を補う 余分な脂質を取らずに摂取できるのは非常に良いことだとおもいます。

炭水化物

炭水化物は、食物繊維と糖質を合計したものです。
炭水化物には、砂糖などの糖類が含まれることから 健康食品では比較的嫌われる栄養素です。
体内での役割は、すぐに使用できるエネルギー源として重宝されます。
そのため、レッドブルなどのエナジードリンクには沢山の糖質(ブドウ糖・果糖など)が配合されています。
エナジードリンクでスッキリするのは「カフェイン」と思われがちですが、実際は「糖質」です。

口に入れても甘くない糖質以外の炭水化物も嫌われがちです。
最近流行りの「糖質制限ダイエットでは人は脂肪ではなく糖質で太る」という考えもあって、デンプンやデキストリンを配合しているのも嫌う消費者もいます。
一方で、難消化性デキストリンなどは「脂肪の吸収を穏やかにする効果」が認められており、トクホ・機能性食品として利用されています

ナトリウム

食塩の過剰摂取は、高血圧を引き起こすので健康食品ではナトリウムの配合量は多い食品は皆無と言えます。
食品表示基準が新しくなり、Naではなく食塩相当量で記載するようになりました。
体内での役割は、体液の調整に役立っています。

健康食品では、夏場の脱水症状を防ぐためにNaを一定量配合した「経口補水液」が定番になっています。

加工食品で固結の起こる原因と防止方法

加工食品で固結の起こる原因と防止方法

造粒品を扱う上で注意したいのが、吸湿による固結です。
例えば、果糖を使った 粉末のジュースを作ったとしましょう。
果糖は吸湿しやすい素材のため、水分を吸ってしまい粉末が固結し商品性を失うことが十分考えられます。

固結とは?

固結とは、食品が吸湿し粉末粒子同士がくっつくことで塊になることを指します。
塩の固結が発生するメカニズムを考えましょう。

塩は外気の湿度の変化に応じて吸湿したり乾燥したりする。吸湿したときは表面に飽和塩水の液膜ができ、乾燥すると液膜が固体化して塩の粒を接着する
塩_固結

(引用:塩の情報室
つまり、固結が起こるのは塩の表面が吸湿して溶けたり、乾燥して結晶が成長したりする工程を何回も繰り返しますことで大きな塊に成長します。
水溶性の素材であれば、固結が起こってしまうといえるでしょう。
また、吸湿が激しい場合は固結せずに、溶けてしまいます(潮解と呼ばれます)。

固結の防止方法

固結の防止方法は、主に4種類の方法があります。
▶︎固結対策1
吸湿の防止方法と同じく「包装で外気と遮断すること」「乾燥を十分行い、水分活性を低くする」ことが挙げられます。

▶︎固結対策2
「固結防止剤を使用する方法」もあります。
固結には、二酸化ケイ素・リン酸カルシウムなどが知られています。

▶︎固結対策3
粒子間の接触を防ぐために、不溶性の物質(タンパク、デンプン、無機塩)を混合します。
不溶性の物質が多いほど、結晶が成長するのを阻害できます。

▶︎固結対策4
造粒することで、粒子の表面積を小さくします。
表面積が減ることで、粒子と水分の接触する機会が減ります。
混合品で吸湿する場合、造粒することで 水分活性が下がる+表面積が下がる恩恵を受けて、問題が解決することが多いです。

参考
食品開発の進め方

水分による食感の変化:吸湿と乾燥

水分による食感の変化:吸湿と乾燥

乾燥食品(顆粒タイプのサプリメント,シリアル,煎餅など)において問題になりやすいのが、吸湿による 食感の変化です。

日本は多湿の環境ですので、吸湿による劣化を考慮した商品設計を行わなければなりません。

食品の吸湿の状態を理解するには、水分等温吸着線を見るのが大切です。
あらゆる食品の吸湿は、下記のS字カーブを描くことが知られています。

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(改変:山口大学工学部:食品乾燥における塩の添加の乾燥速度と乾燥表面の評価
縦軸:吸湿速度
横軸:水分活性(Aw)
(水分活性については、微生物と水分活性:結合水と自由水を参考ください)
で食品の吸湿状況を表しています。
十分乾燥を行った結合水のみの場合は、吸湿は非常にゆっくり進みます。
一方、水分活性が高くなると 吸湿速度が加速的に早くなるという特徴があります。

そのため、吸湿を防ぐには最初に水分量を低くすることが大切になってきます。

また、吸湿速度は温度が高くなればなるほど、早くなることも知られています。
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(引用:山口大学工学部:食品乾燥における塩の添加の乾燥速度と乾燥表面の評価

水分活性が高くなると、劣化が早くなる

吸湿をし水分活性が高くなると、粉体がべとべとになったり塊になってしまうので 食品の風味が損なわれます。
それ以外にも、水分活性Awが高くなると 微生物の繁殖・吸湿による酸化・褐変反応の促進など様々なデメリットがあります。

吸湿の防止方法

吸湿の防止には、包装で外気と遮断することが通常です。
吸湿しやすい原料を含む場合は、乾燥剤を入れることも多いです。

賞味期限の設定・推定方法:T.T.T.法

賞味期限の設定・推定方法:T.T.T.法

加工食品の賞味期限は、一年・二年などとても長い期間が設定されます。
理想的には、2年経過品でも品質劣化が問題ないことを確認した後、商品を販売すれば良いのですが 現実だとそんな期間の余裕はありません。
そのため、加速(促進)試験を行い 賞味期限を推定することが多いです。
推定方法は、T.T.T.法と呼ばれています。

食品会社に従事する人ならば、すでに利用したことがあるかもしれませんが設定根拠について改めて見てみましょう。

T.T.T.法とは?

T.T.Tとは、Time.Temperature.Tolerance(貯蔵時間-温度-耐性)の略語です。
実際の流通温度よりも高い温度帯に晒すことで、化学変化が促進され 賞味期限を推定することができます。

賞味期限と温度の関係は、以下のアレニウス式が知られています。
変数は、T(温度)賞味期限(k)の2つです。
そのため、ある2点の温度での変化速度がわかれば、直線の傾きを推定することができます。
傾きがわかれば、あらゆる温度での賞味期限(k)が推定できるようになります。

▶︎T.T.T.法の根拠となる、アレニウス式
T.T.T.法
(引用元:農学国際特論 Ⅰ:ポストハーベスト、保存・流通(東京大学講座)より

実際の保存試験を想定してみよう

①基準温度の設定

基準温度とは、製品の賞味期限(k)の根拠となる温度です。
加速試験を行った後、アレニウス式を完成させた後 代入する温度Tです。

基準温度は、商品の保存状態を考慮した温度を選びましょう。
沖縄那覇市の平均気温や東京の平均気温を選ぶことが多いです。

②加速試験の温度設定

基準温度+10度、基準温度+20度にて、加速試験を実施します。

温度が高くなるにつれて、劣化が大きくなります。

③変化の評価

加速したサンプルを定期的に評価する必要があります。
加速時間は、1週間、1ヶ月など定期的に実施する必要があります。

変化の評価項目は、色・味・歯ごたえなど官能評価で評価することが多いです。
評価は数値ですることが必要で、以下のような感じが一般的である。

5 点:対照品と比較してほとんど差がない
4 点:対照品と比較してわずかに劣る
3 点:対照品と比較して劣るが,商品として必要な品質が保たれている
2 点:対照品と比較してかなり劣る
1 点:対照品と比較して非常に劣る

1点が変化の限界点であり、商品性をそこなうのはどのラインであるかを、明確にする必要があります。

④変化の推定

基準温度+10度、基準温度+20度で各々、保存可能期間を推定しましょう。

基準温度+10度,基準温度+20度において、官能評価で色の変化を評価したとしましょう。
基準温度+10度において、1ヶ月ごとに官能評価を行い 色差を判定します。
基準温度+10度で12ヶ月で品質の限界になり、基準温度+20度だと3ヶ月で品質の限界に達しました場合を考えましょう。
グラフにプロットすると以下の感じです。

もし仮に、品質の限界まで十分加速する時間がない場合は、何点かサンプルを判定を行いグラフをプロットすることで、品質の限界点を推定します。
TTT_変化量
次に、各温度における限界点をプロットして、アレニウス式を完成させましょう。

実際に2点を線で結ぶと下記のようになります。
TTT_アレニウス式
このグラフを利用すれば、あらゆる温度での賞味期限を求めることができるようになりました。

基準温度で、賞味期限がどれくらいになるか確認しましょう。

実際の実務ではもう少し簡便化をするために、実際に流通温度で 定期的にデータを集めている実績のある商品と同時に加速し、劣化の変化が同等程度なら 同じ賞味期限を設定することもあります。

賞味期限の設定方法については、会社の方針による部分があります。

まとめ

賞味期限を設定するには、以下の①〜③を実施する必要はあります。

①加速試験にて、不適切と判断される2点を探します
②2点間で直線を引き、アレニウス式を完成させます
③基準温度での、臭味期限を推定します。

①〜③での精度をあげるためにも、標準品を設定したり、評価項目の見直しなどが大切です。

健康食品の分類と特徴:機能性食品を中心に

健康食品の分類と特徴:機能性食品を中心に

いわゆる健康食品(栄養補助食品)

下記3つに分類されない、全ての健康食品です。
市販されている健康食品の多くはこれです。

○○に効きます! と宣伝すると、薬事法に引っかかるので イメージの良い言葉を選んでマーケティングする必要があります。
食物繊維配合製品だと、「どっさり」「すっきり」とか擬音語を使って消費者に連想させます

特定保健用食品(トクホ)

トクホ
トクホは、科学的試験(臨床試験など)に基づいて有用性が 厚生労働省に許可された製品です。
臨床試験とかしないといけないので、コストがかかるということで、機能性食品に取って変わられていくでしょう。

個別に審査を受けている「特定保健用食品(個別許可型)」と、許可数の多い保険機能について、基準を満たした「特定保健用食品(規格基準型)」があります。
安全性・有効性において 高い基準が求められているため、嗜好性の高いものは少なく シンプルな設計思想なものが多いです。
食物繊維繊維配合製品だと、「整腸作用があります」と宣伝できます。

栄養機能食品

栄養補助食品は、不足しがちな影響補給を目的とした製品です。
規格基準さえ満たしておれば、栄養補助食品として販売できます。

認められている栄養素は、ビタミンA,B1,B2,B6,B12,C,D,E,ナイアシン,パントテン酸,葉酸,ビオチンとミネラル類(Fe,Ca,Mg,Cu,Zn)です。
配合できる栄養素は、規格内でいけないため たくさん入れることができません。
そのため、ビタミン補給を目的としたサプリメントでも栄養補助食品にしない事もよくあります。

ビタミンCは、皮膚や粘膜の健康維持を助けるとともに、抗酸化作用を持つ栄養素です と宣伝できます。

機能性表示食品

機能性表示食品とは科学的根拠に基づいた機能性が、事業者の責任において表示される食品です。
2015年4月から始まった新しい制度です。
消費者庁長官へ届け出を行うことで、機能性を行う事ができます。

トクホとの違いは、製品で臨床試験をしていなくても、有効成分さえ製品に配合すれば良いだけなのがメリットです。

例えば、食物繊維7gを有効成分とした製品を仮定しましょう。

▶︎トクホ製品の開発の場合
①食物繊維の有効性・安全性を評価(研究レビュー、臨床試験)
②製品形態での有効性・安定性を評価(臨床試験)
③厚生労働省の審査・許可

と非常に期間が長くかかります(2〜3年くらいと言われています)

▶︎機能性食品
①食物繊維の有効性・安全性を評価(研究レビューでも可能!)
②消費者庁の審査・許可

となっています。
製品形態での確認が不要、機能性成分の臨床試験も不要になっているので開発期間が短いです(3〜6ヶ月程度と言われています。)

機能性食品は始まったばかりの制度なので、私もわからない部分が多いものの、有効性のある健康食品が増える事は消費者にとってメリットだと感じています。

食品添加物着色料の特徴と使用時の注意点

食品添加物着色料の特徴と使用時の注意点

加工食品では、様々な原料を組み合わせる事で色味の発色が悪くなったり、熱をかけたりする過程で色味を失うことが多いです。
それを補うために、着色料を使用する事が多いです。

例えば、いちご牛乳を作ろうと思っても、いちご果汁はコスト・安定性の都合上配合する事はほとんどできず色味は牛乳の白の色味になってしまいます。
そういったときに、着色料を使用し 色味をつけることで いちご牛乳ぽさが増します。

着色料は絵の具と一緒

着色料を使って色を作るときは、絵の具と同じイメージを持つことがコツです。

絵の具と同じ感じで、着色料を組み合わせれば 豊富な種類の色を出すことができます。混色表を参考にする事で色んな色を作れるようになります。

▶︎絵の具の混色表
絵の具_混色表

着色料と絵の具との違いは、大きくは2つです、
①着色料に、白色はない(二酸化チタンは白ですが、粉末製品には使えません)
②着色料は、退色します(ph,熱などの影響を受けます)

次にどんな色の着色料があるか、及びその特徴を見てみましょう

赤色系

赤色_着色料
赤色は、他の色と組み合わせることで様々な色を作ることができるので、利用頻度の高い着色料です。

▶︎アカキャベツ色素、アカダイコン色素、エルダーベリー色素、ムラサキトウモロコシ色素
アントシアニン系の色素です。
ph3付近で、赤色を発色します。
アルカリでは、青になります。

▶︎ビートレッド色素
ベタシアニン系の色素です。
熱に弱く、金属イオン(Fe等)と共存することで変色します。

▶︎ベニコウジ色素
ベニコウジカビの培養液から得られた、アンカフラビンおよびモナスコルブリンを主成分とする着色料です。
pHにより、発色が異なります(pH4以上で比較的安定)。

▶︎コチニール色素
エンジ虫より抽出された、アントラキノン系の色素です。
コチニール色素を含む飲料で急性アレルギー反応(アナフィラキシー)を起きたことがあり、健康食品では使用されることはほとんどありません。

橙色系

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▶︎パプリカ色素、アマダイダイ色素、アナトー色素
カロテノイド系のため、光に弱いです。
マリーゴールド色素は、光に比較的強いです。

茶色系

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茶系の色素は、色味の変化を誤魔化すために使用します。
加工食品の外観の劣化は、茶変することが多いため 最初から茶色にしておけば 変化がわかりにくくなります。

▶︎カカオ色素
フラボノイド系色素です。
鉄などの金属反応し 色が変色(黒く濁る)します。

▶︎カラメル色素
砂糖・ブドウ糖から得られる色素です。
水に溶けやすく、油脂や有機溶媒には溶けません。

青色系

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青色色素は、赤、黄等の色素と使用する事で、いろんな色味を作る事ができます。

▶︎クチナシ青色
クチナシ抽出物を酵素処理して得られます。
pH1.5~8.0の範囲で安定です。

▶︎スピルリナ色素
タンパク質系の色素なので、熱・酸で凝集します。

黄色系

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▶︎クチナシ黄色、カロテン色素、
カロテノイド系です。
光に弱い特徴があります。

▶︎ベニバナ色素
フラボノイド系です。
アルカリ側では赤みが出る特徴があります。

▶︎ウコン色素
光に弱いです。

▶︎リボフラビン(ビタミンB2)
光に弱いです。
栄養強化でも役に立ちます。
健康食品では、使用頻度の高い着色料です。

緑色系

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劣化しやすい 植物系の緑色を補うために使用します。
健康食品だと、使用頻度の高い色味です。

▶︎スピルリナ色素、クロレラ色素
クロロフィル系の色素です。
酸性で色の退色が目立ちます

▶︎クチナシ青色+ベニバナ黄色、クチナシ青色+ウコン色 等
青+黄を足して、緑色を作った製剤も売られています。

黒色系

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黒色の色素は、安定性が高いのが特徴です。

イカスミ色素、竹墨色素などがあります。

まとめ

着色料の多くは、VCと併用する事で安定性が増す事が多いです。
(酸化防止剤としての役割)

着色料が色の変化する要因は、①〜③ですので注意しましょう。
①溶液のpH値
②重金属(特に鉄)
③蛋白質の有無

サプリメント原料の分類方法まとめ

サプリメント原料の分類方法まとめ

健康食品を設計する際、様々な原料を使いますね。
原材料をいろんな視点で分類してみましょう。

食品と食品添加物

原材料表示を決定する時は、食品と食品添加物 といった目線で見ることが必要です。
食品業界に勤める上で、原材料表示を見て、「食品」と「食品添加物」の区別化がつかないのは致命的です。

用途で分類

配合している素材の目的で、分類することは技術者として非常に大切です。

カロリミットの原材料表示を例としてみてみましょう。

▶︎原材料
緑茶エキス・桑の葉エキス:機能性素材

セルロース:結合剤

環状オリゴ糖:マスキング素材

シェラック:コーティング剤

ステアリン酸カルシウム:滑沢剤

というように、どういった用途で配合するを見ることが大切です。
これは、技術者的な目線になります。

原料の由来で分類

使用されている、原料が何からできているかという目線です。
キトサンならば、カニ由来といった見方や海産物由来といった見方になります。

例えば、植物由来の原料を使用しています! と書けば消費者のイメージが良くなりやすいです。

主な分類方法はこんな感じ。
植物由来、動物由来、鉱物由来、化学合成由来  等

産地の由来で分類

原料の産地で分類することも、健康食品では多いです。

国産原料使用!
宇治抹茶使用!

など、産地を商品のアピールポイントにすることも多いです。
産地で分類する時は、「加工地」と「産地」を意識すべきです。
カロリミットでは、「キトサン(かに由来) 由来:かに(韓国、日本) / 加工地:日本」という書き方をしています。

健康食品で使用する香辛料(スパイス)と特徴

加工食品で使用する香辛料(スパイス)と特徴

香辛料(スパイス)は、少量配合するだけで独特の風味が立つことが特徴です。
健康食品では、香料を使えない商品を担当することがあります。
そんな時、役に立つのが香辛料(スパイス)です。

香辛料は、風味を作る以外にも 機能性を持つ素材が多いため 健康食品と相性の良い原料です。
香辛料は、利用する部位によって似たような特徴を持つので、部位別に有名な香辛料を見てみましょう。

種子系スパイス

コリアンダー、フェンネル、アニス、クミン、マスタードシード、カルダモン、ナツメグなどがあります。特徴としては、ピリッとした辛味を持つものが多いです。

フェンネル

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カレーの様なスパイシーさが特徴です。
ピリッとしたハーブ風味を出す際に使用します

健康食品では、ハーブティーとしても使用されます。
種子系スパイスや果実系スパイシーは、カレーに使用される スパイスが多いイメージがあります。
ピリッとした辛味が特徴です。

果実系スパイス

種子系と同様に、ピリッとした辛味が特徴です。
種子よりも、色味が鮮やかなものが多く、辛味もワンランク上です。

オールスパイス

オールスパイス
シナモン、クローブ、ナツメッグをミックスしたような、深みのある香りをもっています。
ドーナッツやクッキーといった焼き菓子関係の香り付けにも用いられています。

健康食品では、カロリーメイトみないな焼き菓子系や ハーブティーの香りつけに使用したりします。

参考:オールスパイス

レッドペッパー(赤唐辛子)

レッドペッパー
レッドペッパーは、赤唐辛子のことを指し 辛味が特徴の香辛料です。
健康食品だと、スープ系で辛味を出すのに使用する以外にも、脂肪燃焼系サプリメントに使用します。

ブラックペッパー

黒コショウ
黒コショウの辛味成分ピペリンは、血流をよくする効果が知られている。
健康食品では、風味素材としてよりも機能性素材として使用されることが多いです。

花茎系スパイス

花茎の香辛料は、ハーブとして利用されるものが多いです。
スッとする独特の風味と、茎に含まれる 雑味(主に苦み)が特徴です。

ミント

ミント葉
ペパーミント・スペアミントなどスッとした香りが特徴です。
お菓子・口臭ケアサプリ・ガム など用途が非常に広いです。

ミントのスッとする成分は、メントールといい こちらの抽出物を使うことが多いです。

ローズマリー

ローズマリー
香辛料としては、肉料理の臭み消しに利用されるのが一般的で、ソーセージ・フライドチキンなどに配合されます。
健康食品では、コラーゲンを使用したスープでの臭み消し や、ハーブティーとしての利用が多いです。

タイム

タイム
香辛料としては、肉料理の臭み消しに利用されるのが一般的で、ソーセージ・フライドチキンなどに配合されます。
健康食品では、コラーゲンを使用したスープでの臭み消し や、ハーブティーとしての利用が多いです。

ローズマリーと比べると知名度が低いですが、「精神的なストレスを和らげる」としてリラックス性のある効果が知られています。
安眠サプリなどで使用されることも多くなりました。

木皮系スパイス

香り・味ともに強いものが多く、味のコクを増やしてくれます。

シナモン(ケイヒ)

シナモン
シナモンロールやアップルパイなど、嗜好性の高い お菓子にも使用される香辛料です。
嗜好性の高い健康食品(クッキー、チョコレート)で利用することがあります。

シナモンは、血管のアンチエイジング作用や、血行促進素材の機能性素材として利用することもあります。
有効量が多い場合は、風味を隠すために錠剤などの形態が望ましいです。

根塊系スパイス

種子系と同様、辛味が特徴のスパイスです。
種子系は ピリピリと表現されますが、ジンジンとするような辛味が特徴です。

ジンジャー(生姜)

生姜
食品としても馴染みのある生姜は、健康食品でも利用されることの多い香辛料です。
スープ系、ドリンクなど様々用途で、辛味を出す素材として利用されます。

辛味の成分は、ジンゲロール、ショウガオール、ジンゲロンの3種類があり、ジンゲロール・ショウガオールなどが規格された香辛料も存在します。
辛味をもっと出して欲しい と言われた場合、最も選択肢になりやすいのが 「ショウガ」と言えます。

オニオン(たまねぎ)

たまねぎ
オニオンを、肉・サラダなどに振りかける調味料のアクセントとして使用されます。
健康食品では、もっぱらスープ系・代替食など 食品系の健康食品で利用されます。

注意が必要なのは、野菜の素材として たまねぎを入れていると 味の主張が強く 味作りの妨げになることがあります。

まとめ

香辛料は 紹介したもの以外にもたくさんあります。
加工食品の味付けでは、もっぱら「香料」を使用することが多いです。
しかし、辛味や味の奥深さを出すには もの足りません。
そういった時に、香辛料を選択することが大切です。

食品で使用する天然系着色料の色素変化と注意点

食品で使用する天然系着色料の色素変化と注意点

食品の品質において、重要な指標として挙げられるのが色です。
食品に含まれる色素成分は不安定な成分であり、酸味料との組み合わせで発色が変わったり 鉄を入れると黒く濁るなど 様々なトラブルに繋がりかねません。
加工食品で使用される色素は安定性の高いものが多いですが、組み合わせに注意が必要なんです!

食品に含まれる天然色素の特徴を見ていきましょう。
色素には、合成色素・天然色素がありますが 健康食品ではもっぱら 天然系が使用されます。

ポルフィリン系色素

クロロフィル色素

スピルリナ
クロロフィル色素は、葉緑素色素として知られています。
代表的な色素はスピルリナが有名です。

熱・金属イオン(栄養強化でミネラル類を添加しやすい)に比較的安定な一方、光や酸性に弱いです。
特に、酸性化では 褐色反応が進むので注意が必要です。

詳細はこちら:健康食品開発のためのクロロフィルの退色《原理と対策》

▶︎クロロフィルの変化
クロロフィル_変化

ヘム色素

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ヘム色素とは、動物性食品に含まれる鉄分を含んだ赤色の色素です。
ヘム色素は、酸化することで鮮やかな赤色から褐色に変化することが知られています。

健康食品では使用することがほとんどないと思います。
ハムの加工では、色味をよくするために 発色剤として「硝酸塩」を使用します。
そうすることで、食肉製品に鮮やかなピンク色をつけています。
(正確なところは、食品添加物<発色剤>に詳しい)

カロテノイド系色素

カロテノイド系色素

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(引用:わかさ生活:カロテノイド
カロテノイド系色素は、赤〜黄色が特徴です。
カロテノイド色素は、 アナトー・パプリカ・クチナシ黄色素・アスタキサンチン・ルテイン など様々な食品から抽出され色素として利用されます。
注意点は、光に対しての不安定な点です。
また、酸素と反応し分解されてしまう性質を持っている。
そのため、包装使用をしっかり考える or 他の同じ色味を呈する色素を検討する必要があります。

フラボノイド系色素

フラボノイド系には、アントシアニン系とフラボン系の2種類あります。

アントシアニン系

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(引用:花の色はいろいろ
アントシアニン色素は、果実や花などから抽出される 赤・青・紫が特徴の色素です。
赤キャベツ・アカダイコン・紫トウモロコシなどから抽出されます。

phにより、色味の発色が異なります
酸性では赤、アルカリでは青になります。
食品で注意が必要なのは、酸味料を使用する時です。
着色料の検討をする時は、pHを固定してから行う必要があります。

▶︎アントシアニンの変化
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フラボン系

イソフラボン
フラボン系は、無色〜薄黄色が特徴です。
色素として使用することはないのですが、鉄などの金属反応し 色が変色(黒く濁る)することが知られています。
健康食品では、イソフラボンやカテキンなどが有名なフラボノイドです。
これらと一緒に鉄などを添加する時は、コーティングされた鉄を使いましょう。

▶︎フラボンの色素の変化
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その他の色素

クルクミン

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クルクミンはウコンに含まれる黄色の着色料です。
着色料としてよりも、機能性素材として配合されることが多いです。
光に弱いので、注意が必要。

キノン系色素

赤色の色素として、ラッカイン酸(ラッカイガラムシの分泌する色素)。
これは、錠剤のコーティング(セラック)として使用されることが多い。

コチニール色素は、エンジ虫から抽出される赤色の色素です。
コチニール色素を含む飲料で急性アレルギー反応(アナフィラキシー)を起きたことがあり、健康食品では使用されることはほとんどありません。
熱に安定なので、練り物・菓子類に使用されます。

まとめ

天然色素をざっと、見てみました。
色素はまだまだ種類がありますが、普段利用することの多い 原料の特徴を簡単に解説しました。

色素と聞くと、安定しているイメージがあるものの 条件次第では 色味が変化してしまう色素が多いです。
着色料=万能ではなく条件次第では色が変化するということが理解していただければ と思います。

参考
引用及び色素変化の写真の引用調理科学実験B,C(6回目)

健康食品開発のためのクロロフィルの退色《原理と対策》

健康食品開発のためのクロロフィルの退色《原理と対策》

クロロフィル(葉緑素)の退色も加工食品の外観の劣化でよく出会う問題です。

クロロフィルは、植物細胞内では タンパク質と結びついているため安定している。
しかし、酸性化では 緑色のクロロフィル褐色のフェオフィチンに変化します。

クロロフィルを含むほうれん草を様々なpHの溶液と混ぜる場合、塩酸と混ぜた時最も茶変をします。
クロロフィル_変化
(引用元:食品学実験1/管3/天然色素に関する実験1

青汁や野菜ジュースなどのクロロフィルを多く含む原料を配合する際に、酸味料を入れる時は 緑色の色素を加えることで劣化を誤魔化すことができます。
ビタミンの強化目的で、ビタミンCを配合すると茶変の原因になるため注意が必要であります。

また、クロロフィルの分解は酸素・光・水分・温度など影響を受けます。
できるだけ、クロロフィルの分解を遅くするには、遮光・密封できる包装形態を選択する必要があります。

また、原料の加工時にブランチング(湯通し)を行い、酵素を失活させることで色味の劣化を抑えることができます。

まとめ

クロロフィルは、緑が茶になるため 賞味期限が短くなりがちです。
クロロフィルが入っているのは、緑色の天然原料(ほうれん草・パセリ・セロリ・大麦若葉などの野菜がメイン)。

特に注意点は、pHです。
酸味料を入れていないから大丈夫と思いきや、VCやレモンなどの原料が溶液を弱酸性にし 外観の変化を早めていたということが多いです。

健康食品開発のためのメイラード反応《原理と対策》

健康食品開発のためのメイラード反応《原理と対策》

アミノ酸
メイラード反応は、アミノ酸と糖が反応して 褐変する現象です。
加工食品の色味の変化は、メイラード反応であることが多いです。 加工食品の賞味期限設定では、味の変化よりも外観の変化の方が影響が大きいため、メイラード反応による褐変は深刻な問題です。
同様の反応に、ビタミンCがアミノ酸・タンパク質などと結びついてメイラード反応のような褐変化を起こすことも知られています。

健康食品ではビタミンCを配合することが多いので注意が必要です。
特に美容系のサプリメントだと、V.Cとコラーゲン(タンパク質)、V.Cと必須アミノ酸といった 技術者には嬉しくない組み合わせが多い。

メイラード反応を防止するのは難しいので、反応速度を遅くする or 着色して誤魔化すのが一般的です。

メイラード反応の反応速度に関わる因子

アミノ酸

アミノ酸の種類により、褐変のしやすさが異なります。
(グリシン及び塩基性アミノ酸が反応しやすい)
ただ、健康食品の場合 アミノ酸は訴求成分として使用するため変更が難しい。
そのため、他の因子で反応を遅らせることを目指しましょう。

メイラード反応では、糖の還元末端基 と アミノ酸の2つが反応に関わるため 直接還元糖を多く含む グルコース(ブドウ糖)・フラクトース(果糖)・乳糖・デキストリンが注意が必要な原料に当たります。

健康食品では、増量剤として デキストリンを使用することが多い かつ 糖のイメージがないので メイラードの原因だと気付きにくいため注意が必要です。

pH

pHが高いほど褐変が早いことが知られています。

水分

顆粒の健康食品では、水分が高いほど褐変しやすいためできるだけ水分を下げることが求められる。
一方、グルコース(ブドウ糖)・フラクトース(果糖)が水分を保ちやすく 乾燥しにくい。

水分を下げるのは、簡単なようで難しい。

温度

温度が高ければ高いほど、反応速度が早い
賞味期限の設定の時、高温槽で加速して 褐変がひどい場合でも常温で長期間保管したものを観察すると全然変化していないことも多い。

加速試験の際、褐変の原因がメイラード反応ならば 過去の常温の安定性試験を見返し 試験の計画を練りなおそう。

まとめ

加工食品の外観の変化は、メイラード反応以外にも、ポリフェノールによる、酸化酵素反応が有名です。

参考
食品開発の進め方

微生物と水分活性:結合水と自由水

微生物と水分活性:結合水と自由水

水分活性は微生物の増殖に影響を与えるため、水分活性を抑えることが大切です。
また、微生物の繁殖以外にも水分を抑えることで、様々な反応を抑えることができるので安定性の向上にもつながります。

水分活性を理解するためには、結合水と自由水について理解することが必要です。

結合水と自由水と水分活性

食品中の水分は、「結合水」と「自由水」に分けられます。

▶︎結合水
食品を構成する物質(糖質・タンパク質 等)と結合しており 自由に動き回ることができません。
そのため、微生物は結合水を利用することができません。

▶︎自由水
結合水以外の、束縛されていない水です。
微生物が利用できる水分です。
微生物の増殖を考える際は、自由水の量を基準に考えます。

▶︎水分活性
水分活性とは、全ての水分の中で自由水がどれくらい存在するかの目安です。
算出方法は以下の式になります。

水分活性_自由水
水分活性は低ければ低いほどよい。
しかし、水分活性を下げると 食品の品質(味・テクスチャー等)が変化するため難しいところです。
水分活性を下げるために、砂糖を糖アルコールなどに置き換えることが考えられます。
目安として、各種微生物が生息する最低水分活性を見てみよう。

微生物 最低水分活性
細菌 0.91
酵母 0.88
カビ 0.8

自由水と結合水のイメージ図

▶︎食品と水分の結合のイメージ図
食品に含まれる、たんぱく質(アミノ基(NH2)やカルボニル基(-COOH))や糖質(-OH基)と水素結合することで、食品の表面に留まります。
これを結合水と呼びます。
結合水_自由水_食品表面

▶︎結合水と自由水のイメージ
次に、食品表面よりも外側に目を向けましょう。
食品との表面にいるのは、結合水です。
水素結合は非常に強力なので、非常に安定した状態と言えます。

その上には、準結合水と呼ばれる層があります。
自由水と比較すると、自由度が低く蒸発しにくい性質を持っています。

そのさらに上の層は、食品表面の影響を受けない層になっています。
これを自由水と呼びます。
結合水_自由水_水分子

まとめ

水分が多いドリンクなどは、無菌充填を採用することで 菌類は入らないようにしています。
菌が入ること前提の商品では、水分活性を減らすことが大切です。

今回は、菌の増殖には 自由水分が必要であること。
自由水分を減らすことが、菌の増殖を抑制することを理解してもらえればと思います。

参考
食品開発の進め方

健康食品開発のための酵素による劣化《原理と対策》

健康食品開発のための酵素による劣化《原理と対策》

健康食品は、加工度の高い原料を扱う事が多いので 酵素を熱処理などで不活性にしていることが多いです。
そのため、問題となることは多くありませんでした。
しかし、ここ最近 酵素ゼリーや酵素入りスムージーなど 酵素を売りにした製品が増えました。
そういった環境を踏まえると、酵素について知識を持つことが大切です。

酵素とは?

 酵素
酵素とは生体で起こる化学反応に対して触媒として機能する分子を指し、タンパク質からなります。

タンパク質を分解する、プロテアーゼ。
炭水化物を分解する、アミラーゼ

などの酵素は有名ですね。
酵素反応の代表例は、野菜です。
野菜を未加熱の状態で、加工食品に添加すると保存中に酸化反応し異臭を発生します。
そのため、加工食品に利用される野菜粉末はブランチング処理を行います。

食品と酵素の反応には、主に2種類あります。
それは、「加水分解酵素」と「酸化酵素」です。

加水分解酵素

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加水分解酵素とは、タンパク質を分解する「プロテアーゼ」、炭水化物を分解する「アミラーゼ」などによる反応を指します。
でんぷんの含まれる、加工食品に「アミラーゼ」などが含まれている場合 でんぷんが分解されてしまい 食感が変わることがあります。

余談ですが最近流行りの酵素は、こちら側の「加水分解酵素」を指します。
(いわゆる、消化酵素・代謝酵素など)

粒子が移動できない形態(顆粒・錠剤など)では加水分解酵素の働きがほとんど見られませんが、粒子の移動が自由な液もの(ドリンク・ゼリーなど)では酵素を配合すると 加水分解が問題になり 安定性が悪い方向に向かいやすいです。

酸化酵素

りんご
褐変反応の多くは、フェノール類の酸化重合反応です。
りんごを切ると、断面が黒くなります。
それは、りんごに含まれるポリフェノールと空気が酸化反応を起こしているからです。
酸化のデメリットは、外観の変化以外にもビタミン・アミノ酸の分解も伴うため、栄養の低下も招きます。

ポリフェノール類の多くは、脂肪減少効果が認められていることが多くサプリメントに使用することが多いです。
ポリフェノールを含む原料を扱う場合は、安定性に注意しましょう。

食品中の酵素反応の対策

酵素反応は、温度・pHに依存するため、pH(4以下)調整、低温にすることが望ましいです。
その他に、原料加工工程における酸素の除去、アスコルビン酸などの酸化防止剤で反応を遅らせることが挙げられます。

参考
食品工業技術概説

食品開発の進め方

フレーバーの形態:粉末・水溶性・乳化・油溶性

フレーバーの形態:粉末・水溶性・乳化・油溶性

加工食品の味が年々美味しくなるのは、香料の進化のおかげといっても過言ではありません。
なぜなら、あらゆる食品に香料が使用されているからです。

フレーバーの形態と用途と特徴を簡単に整理します。
製品の剤型と相性の良いフレーバーを把握しておくことで、味作りがスムーズにいくものです。

粉末香料

スープ
粉末香料の多くは、デキストリンなどをスプレードライすることで香料成分を吸着させます。
粉末タイプのメリットは、安定性に優れるため、様々な食品に使用できます。
計量も用意で、倍散しやすいため品質のブレが少ない工業品の生産が可能です。
チューングガムのベースに混ぜ込み味付けに配合したり、粉末タイプのスープに添加したりします。

取り扱いの注意点は
①熱に弱い(香気成分の揮発)
②水溶性のものと比較し、力価が弱い
③水へ難溶性の粉末香料もある
の3点です。
スケールアップを行う際は、加熱工程がある場合は香料の劣化に注意を払う必要があります。

水溶性香料

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香料ベースをアルコールと水で溶解、抽出した香料です。
香料の成分がそのまま残存しているため、香料の力価がもっとも強く マンゴーやピーチといった果物はフレッシュに感じることができる。
一方、デメリットもあり揮発性が高いので高温の処理をする場合 香りが飛んでしまいます。
主な用途は、加熱工程のない アイスクリーム・ドリンクなどに使用されることが多いです。

乳化香料

time to toast
time to toast

香料ベースを乳化剤を使って、水に溶けるようにした香料です。
油溶性成分が超微粒子になっているので、液体中に綺麗に分散するのが特長です。
ドリンク・冷菓などに使用されます。
果汁飲料に、乳化香料が使う事が多いです。

油溶性香料

クッキー
香料ベースを植物油などに溶解したものです。
耐熱性があるので、クッキー・チューイングガムなどに利用されます。

シクロデキストリンで包括した香料

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香料の劣化防止、安定化、徐放化を付加するために香料にシクロデキストリンを加えます。
食品よりも、シャンプーや入浴剤などで使用される事が多いです。

カプセル香料

ミンティア
ゼラチン、アラビアガムなどで、香料ベースをマイクロカプセル化した香料です。
タバコ(潰して味が変わるタイプ)、こすると匂いのする絵本、口腔ケアサプリなどで使用されます。

参考
日本香料工業会:フレーバーの製品形態

特許庁:【技術分類】2-2-2 素材/香料の加工技術/粉末化・造粒

特許庁:素材/香料の加工技術/包接

天然香料と合成香料

香料はその由来によって、天然香料と合成香料にわかれます。
レモンやバナナなどの香料と聞くと、天然香料を使用していると思う人もいますが、現実が合成香料の場合が多いです。
実際国内で使用される合成香料と天然香料の割合を見てみましょう(以下は平成26年のデータです)。

国内生産 輸入 輸出
天然香料 580トン 8790トン 213トン
合成香料 9,885トン 173,051トン 27,861トン

(参考:日本香料工業会 の香料統計)

天然香料のほとんどは輸入に頼っています。
合成香料の大部分も、国内の生産よりも輸入が圧倒的に多いです。

食品と香料

食品に使用する香料は、食品がより美味しくなるのを目的として配合します。
そのため、香料の味付けは 食品の味をできる限り再現したものが多いです。

香料を使用する時の注意点は、鼻で嗅いだ香りと食品に使用し口から鼻へ移る香りは質が異なることです。
実際食品に添加して味を確認する事が大切です。

合成香料とは?

合成香料は、3種類あります。

①単離香料
②半合成香料
③合成香料

です。
合成香料といっても、天産物をベースとして作る合成香料が多いです。
合成香料=石油などから出来るというわけではありません。

①単離香料

天然香料から分離した単一の成分です。
ハッカからとったメントールなどが代表です。

②半合成香料

天然素材を原料にして合成した香料です。
クローブから単離したオイゲノールから作ったバニリンが代表です。

③合成香料

化学的に合成した香料です。
エチレン、アセチレン、ベンゼン、イソプレンなどの原料から数段階の化学反応を行って合成されます。

天然香料とは?

天然香料には、動物起源のものと植物起源の2種類あります。

植物性香料

植物原料は、花、蕾、葉、枝、樹幹、樹皮、果実、種子、果皮、根茎、樹脂などのから採取されます。
精油(オレンジ油など)、オレオレジン等があります。

精油は、飲料やオーラルケア系の製品で利用されたりします。

動物性香料

動物性香料は 4 種類(アンバーグリス、カストリウム、シベット、ムスク)しかありません。
香水の原料です。

参考
トコトンやさしいにおいとかおりの本 (B&Tブックス―今日からモノ知りシリーズ)

香料テクニック:匂いを混ぜた時の3つの反応

香料テクニック:匂いを混ぜた時の3つの反応

においを混合すると、それぞれのにおいがするかというとそうではありません。
反応には、3種類あって
①匂いが増す、増幅
②片方の匂いが消える、マスキング
③匂いの質が変わる、順応

があります。

一番単純な系である、AとBの2種類の香料を使った場合、私たちが感じる3種類の反応を視覚的にイメージしましょう。
それぞれ、A単体、B単体、A+Bを混合した際の反応は3種類あります。

非線形増幅

非線形増幅_香料
非線形応答は、2種類の匂いが混ざる事で、香りの強度・質が変化します。

マスキング

マスキング_香料
マスキング効果が強い物質を含まれる際、他の匂いをなくす事ができます。
強い匂いで臭い匂いを消す以外にも、匂いのないマスキング剤も開発されています。

順応

順応
上記の丸は、嗅細胞(匂いを感じる細胞)です。
赤色が匂いに反応した細胞を表しています。

Bの香りが来た後に、Aの香りが来たとしましょう。
この際、一部の細胞が 順応し Aの香り単体だと反応する部分が反応し無くなります。
そうなることで、Aと少し違った香りになります。

ちなみに、順応とは匂いを感じ無くなるコトを指します(正確には、次にくる強いに匂いへの準備)。

参考
トコトンやさしいにおいとかおりの本 (B&Tブックス―今日からモノ知りシリーズ)